ニューヨーク・タイムズ公式サイトで最も注目ニュースに
昨年12月に成立した、過激な性描写を含む漫画・アニメの販売などを規制する「東京都青少年健全育成条例」が国境をこえて、アメリカでも物議を巻き起こしている。
ことの発端は、アメリカの大手新聞社「ニューヨーク・タイムズ」が2月9日に、都条例とそれに関連する一連の騒動を報道したのがきっかけとなっている。該当の記事は、ニューヨーク・タイムズの公式サイトの「ビジネス」カテゴリーの中でも「最も人気のある記事」として、デイリーランキングの上位に位置し、150件近くのコメントが寄せられている。
※写真はイメージです。
「犯罪者扱いは怖い」VS「子どもに悪影響」アメリカでも賛否両論
記事は、「InTokyo, a Crackdown on Sexual Images ofMinors(東京で青少年の性的画像を取り締まり)」と題して、賛成派としてまず、石原慎太郎東京都知事を紹介。知事の
(規制対象の漫画は)変質者や異常な人間のためのもの
といった、一連の発言を紹介し、また、言論の自由を尊重しつつ「区分陳列=ゾーニング」の重要性を説く、東京都小学校PTA協議会会長・新谷珠恵氏の意見も伝えられている。
一方、規制反対派として、講談社取締役の清水保雅氏を紹介。清水氏の
日本の漫画の創造性は“何でもあり”の精神で支えられている
という意見を掲載している。講談社は都が主催する「東京国際アニメフェア」へのボイコットを表明している。
ほかに、反対意見として、弁護士の山口貴士氏の
犯罪描写と、実際に犯罪を犯すことはまったく別
という発言や、漫画家・野上武志氏の
法律家は漫画を軽視している、漫画を読むことで人間が駄目になると思っている
といった意見も紹介されている。
記事に対して、読者からはさまざまな意見が寄せられ
コミックを描いただけで、犯罪者扱いはされるのは怖い
といった、意見や
コミックが児童虐待を誘発すると主張するのなら、その統計的な証拠を示すべき
といった、条例反対派を、擁護する意見も見られる。
一方で、条例に賛成する声として
昔から日本のマンガは好きだけど、女性を性の対象物にしたり、不平等に扱う側面は子どもに悪影響を与える
などの意見や
日本ほどの近代国家が、いまだに児童の性的描写を含む商品を容認し、促進し続けていることにうんざりだ
といった、「規制すべき」という意見も多く、日本国内に劣らず賛否両論にわかれ、物議をかもしている。
ニコニコニュース「国境越える都条例問題、アメリカでも議論に」
http://news.nicovideo.jp/watch/nw30769In Tokyo, a Crackdown on Sexual Images of Minors - NYTimes.com
(「東京都青少年健全育成条例」を報じた記事 ※英語)
http://www.nytimes.com/2011/02/10/business/global/10manga.html