「難消化性デキストリン」の効果を定量化
株式会社メタジェンが松谷化学工業株式会社と共同研究をすすめている「難消化性デキストリンが腸内環境に与える影響」について、定量的評価などの研究成果が科学雑誌「Frontiers in Microbiology」に2022年5月4日付で掲載された。
この論文では、難消化性デキストリンが腸内環境に与える影響について、「定量的」に評価することが可能であることが証明された。また、難消化性デキストリンの機能についてもその一部が明らかになったという。
「腸内環境に良い働きがある」といわれてはいるものの、実証データは少ない
難消化性デキストリンやオリゴ糖は「プレバイオティクス」と呼ばれ、人間にとって有益な腸内細菌を増殖させるためいわば“エサ”だ。
ちなみに、これに似た言葉で「プロバイオティクス」があるが、こちらは生きたまま人間の腸内で活動する微生物のことで、ヨーグルトなどに含まれる乳酸菌や納豆に含まれる納豆菌など腸内細菌そのものを指す。
プロバイオティクスやプレバイオティクス、両者を組み合わせたシンバイオティクスは、「腸内環境に良い働きがある」といわれてはいるが、その効果は個人の腸内環境に依存するところが大きく、定量的評価の報告はまだ少ない。
そこで同社は、難消化性デキストリンについて、摂取前後で便や血液を採取し、腸内細菌叢(腸内フローラ)や腸内代謝物質の解析をおこなった。
難消化性デキストリンの摂取により、有用菌の増加と疾患関連代謝物質の減少を確認
試験対象は空腹時の血糖値が高い(高血糖)と診断された日本人成人29名。この29名を無作為に2群に分け、一方には難消化性デキストリンを、もう一方には通常のデキストリン(プラセボ)を24週間摂取させ、摂取前後で採取した便と血液を分析した。
その結果、難消化性デキストリンを摂取したグループは、よく知られているビフィズス菌や炎症抑制効果が報告されているフシカテニバクターなど、ヒトの“有用菌”とされている細菌が明らかに増加した。
また、2次胆汁酸の一種であるデオキシコール酸、2型糖尿病に関連することが報告されているイミダゾールプロピオン酸、動脈硬化に関連することが報告されているトリメチルアミンなどの疾患関連代謝物質が減少することも確認されたという。
個人の元々の腸内環境に依存する部分はあるものの、プラセボ群(通常のデキストリンを摂取したグループ)と比較しても有意な差が確認できたというのだから、「難消化性デキストリン」の効果であると評価しても問題はないだろう。
高血糖や動脈硬化の予防・治療法の開発に期待も
今回は、難消化性デキストリンを摂取することで、ヒトの有用菌が増加し、疾患関連代謝物質が減少することを定量的に確認できたと報告された。
同社は今後、さらに研究をすすめ、腸内環境の制御することで高血糖や動脈硬化の予防・治療法の開発を目指すという。
(画像はプレスリリースより)
株式会社メタジェン プレスリリース
https://metagen.co.jp/news/2022/05/01229.html