IT創薬の共同研究の成果
2014年8月7日、東京大学先端科学技術研究センター(東大先端研)、富士通株式会社、興和株式会社はがんを標的とする新規活性化合物の創出に成功したと発表した。
2011年6月に東大先端研と富士通が共同で開始していたIT創薬の共同研究に興和が参加していた成果だ。共同研究は、抗がん剤などの候補となる低分子化合物を効率良く創出するための新しいIT創薬技術確立を目的として行われてきたが、その結果、がんの原因となるタンパク質(以下、標的タンパク質)の働きを抑える医薬品の候補となり得る新規活性化合物の創出に至った。
この共同研究では、東大先端研が提供した疾患を引き起こす原因と考えられるタンパク質の情報をもとに、富士通と興和がコンピュータ上で設計した多様な化合物構造の中から、標的タンパク質との相互作用により安定な複合体を形成すると考えられる22の化合物構造を選択。
そのうち8化合物構造を合成し、実験による阻害活性測定を行ったところ、1低分子化合物が目標とする阻害活性を示したという。
(画像は富士通ホームページより)
従来の技術と比べて非常に高い創出確率
今回の共同研究で取られたIT創薬技術では、12.5%という確率で新規活性化合物を創出したことになる。これは従来の低分子創薬技術と比べて非常に高い確率だといえる。
今後、東大先端研、富士通、興和は協力体制を継続し、早期に前臨床評価を開始することをめざすとしている。
東京大学 先端科学技術研究センターと富士通 世界に先駆けて実用化を目指す、新しいIT創薬技術の共同研究を開始
http://pr.fujitsu.com/jp/news/2014/08/7.html