産学連携を考える全ての人に!
このほど、「
産学連携イノベーション―日本特許データによる実証分析」という書籍が発刊された。
著者は関西学院大学教授の玉田俊平太氏で、関西学院大学出版会からこの3月に出版され、価格は 2415円となっている。
クリックでAmazon.co.jpの商品ページへ大学発のイノベーションが注目されており、バイオ分野では、スタンフォード・カリフォルニア両大学の遺伝子操作研究が、バイオテクノロジーの端緒となり、医薬産業、化学産業、食品産業などに幅広いインパクトを与えている。
日本でも、1998年に大学等技術移転法が制定されるなど、産学連携を推進しようとの取り組みが行われているものの、大学にはさまざまな研究分野があり、企業も多様な分野の技術を活用して多彩な製品を作っていて、実態が見えていないという。
産学連携の成果の行方などの疑問に答えるため
産学連携はどのような分野で活発なのか、どこの大学で行われた研究成果がどの国の産業で活用されているのか、資金はどの国から提供されたのか、産学連携によって産み出された技術は質の高いものなのかなどの疑問に答える研究はされていないとのこと。
当書は、著者が独自に構築した日本特許のデータベースを用いてこれらの問いに答えようとするもので、そのために用いたのが著者自ら提唱する
サイエンス・リンケージと呼ばれる手法だ。
これは、特許に引用されている学術論文を手がかりに、科学とイノベーションとの関係を分析するもので、特許一件あたり平均何本の論文が引用されているか、引用されている論文の著者はどこの国のどの研究機関に所属し、どこから資金援助を受けて研究したのかなどを調べる手法という。
これらの分析を通じ、産学連携を考えている企業人、大学等の知財関係者、政府の政策立案に携わる人などが、大学や公的研究機関を活用したイノベーションについての新しい知識を少しでも得て欲しいとする。
<著者 玉田 俊平太氏>
関西学院大学経営戦略研究科(ビジネススクール)教授
博士(学術)(東京大学)、MPA(ハーバード大学)
1966年、東京生まれ。筑波大学講師、独立行政法人経済産業研究所フェロー、関西学院大学経営戦略研究科(ビジネススクール)准教授を経て、2010年4月より現職。
現在、経済産業研究所ファカルティフェロー、芝浦工業大学技術経営研究センター客員研究員を兼務。研究・技術計画学会評議員。日本経済学会、International J. A. Schumpeter Society会員。専門はイノベーション経営、科学技術政策。
<書籍の内容>
第1章 科学とイノベーションを結ぶサイエンス・リンケージ
第2章 日本特許データベースの構築
第3章 サイエンス・リンケージの日米比較
第4章 主要4技術分野におけるサイエンス・リンケージの計測
第5章 全技術分類におけるサイエンス・リンケージの全数計測
第6章 被引用論文の属性
第7章 頭脳集積の必要性─発明者間の距離と論文伝達距離
との比較研究
第8章 大学の特許の質に関する研究
第9章 おわりに
「産学連携イノベーション―日本特許データによる実証分析」書籍(Amazon.co.jp)サイエンス・リンケージ
http://www.rieti.go.jp/jp/papers/journal/0412/rr01.html