敬老パスに見直し判定
名古屋市は初めて事業仕分けを行った。事業仕分けを行ったのは、無作為に抽出された120人の市民だった。事業仕分けを行う市民が、計30の事業について「廃止」「見直し」「継続」を判定した。
この事業仕分けにかけられた事業の1つに、河村たかし市長が公約で堅持すると掲げていた「敬老パス」があった。この敬老パスについて、市民17人の判定は、見直し14人、廃止1人、継続2人であったため、見直しという判定を受けた。この事業仕分けの結果について、河村たかし市長は、市民の意見は最も大事とする一方で、制度の見直しについての明言は避けた。
敬老パス:高齢者が年間1,000円~5,000円の負担のみで市バスと地下鉄を無制限に利用できるサービス
名古屋市の敬老パスの歴史
名古屋市の敬老パス制度は、1973年に故本山政雄元市長が始めた福祉施策の1つである。敬老パスは当初無料だったが、受益者負担の観点から、松原武久前市長が2004年から負担金制度に変更した。
2010年度は、名古屋市の65歳以上の64.2%にあたる30万以上に敬老パスが交付され、約131億円の事業費がかかった。5年後には団塊の世代が65歳以上となり、敬老パスの交付対象となる。すると、敬老パスの事業費は2015年度には150億円にのぼると試算されている。
今回見直し判定となった背景には、こうした金銭的な事情のほか、65歳以上の3割以上が使っていないというサービスを続けることは公平性に反する、敬老パスに使われた税金が市バスの経営補填に回っているなどもある。
河村たかし市長の公約堅持となるか、事業仕分けの意見尊重となるかわからないが、今後河村たかし市長や名古屋市議会は難しい判断を迫られることになりそうだ。
名古屋市
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