マダラ・ブリは高位水準維持、ホッケ・イワシは減少傾向に
水産庁は12月9日、「図で見る日本の水産」と題し、最近の水産資源に関する評価などを11月時点で総括したレポートを公表した。評価は、日本周辺の主要な52魚種について、(国)水産総合研究センターを中心に都道府県の水産試験研究機関や大学等が共同で行ったもの。
これによると、水産資源量の水準を低位から高位までの3段階に区分けした中で、最近は低位の資源割合が減って中位の資源割合が増える傾向で推移してきたが、平成27年度は中位の資源が減り高位の資源が増加しているという。
増加傾向にあるのはマダラとブリで、いずれも数年継続して高位水準にある。反対にホッケは以前の高位から低位水準に、カタクチイワシは高・中位から中・低位水準へと減少傾向にある。そして引き続き低迷を続けている資源資源として、トラフグとニシンを挙げている。
太平洋クロマグロとニホンウナギは低迷継続
漁業資源が減る理由としては、人間による漁獲・開発だけでなく自然環境の影響も受ける。特にイワシなどは、十年以上の周期で資源水準が大きく変動することが知られ、近年の
レジームシフトや
エルニーニョ※に代表される大規模な環境変動との関係が報告されているとのこと。
※
レジームシフト:
気温・海水温等が数十年間隔で急激に変化すること
エルニーニョ:
太平洋東部赤道域での海面水温が平年に比べて高くなり、その状態が1年程度続く現象
太平洋クロマグロについては、昨年3月開催の北太平洋まぐろ類国際科学委員会(ISC)臨時会合で、資源量の大幅な減少と回復策をまとめるなど、資源動向には世界的な懸念が示されている。水産総合研究センターの調査も、これを裏付けている。
またニホンウナギは、昨年6月にIUCNのレッドリストで絶滅危惧IB類(近い将来、野生での絶滅の危険性が高いもの)として掲載されるなど、社会問題にもなっていて、平成26年の稚魚採捕量は前年を上回ったものの、長期的にみれば低迷している状況に変わらないとしている。
(画像はプレスリリースより)
水産庁 プレスリリース
http://www.jfa.maff.go.jp/j/koho/pr/pamph/pdf/