マルセル・ライヒ=ラニッキ氏、自身の体験を語る。
ドイツ連邦会議において、一人の男が語り、国民が耳を傾けた。ホロコーストの生存者マルセル・ライヒ=ラニッキ氏(91)のスピーチは、簡単で個人的なものだった。だからこそ、より重苦しく、心に感じ入るのであった。ナチスの恐怖の証人として、彼は、1942年のあの日の体験を描写した。
そのなかでも、スピーチの最後に述べたことばが、すべてを語っている。
「ワルシャワのゲットー(ユダヤ人居住区域)からの、SS(ナチスの親衛隊)によるユダヤ人の追放、彼らはただ一つの目的、ただ一つの目標を持っていた。それは、死であった。」
1945年1月27日、赤軍がアウシュヴィッツ強制収容所からユダヤ人を解放した。ドイツでは毎年この日に正式に、犯した罪を教訓として思い返すのである。1996年に、元連邦大統領のローマン・ヘルツォークがこの追悼を絶対不可欠な義務としたのである。
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Holocaust Memorial / Olivier Bruchezいまだに根付く反ユダヤ主義の思想
ライヒ=ラニッキ氏は、表向きの政治的スピーチを行わなかった。ドイツにおいて、依然としてテーマであるネオナチ集団による9人もの人間の殺人については、一言も触れなかった。
ドイツ連邦議会のラマート議長が、それについて言及した。
「ドイツに住むすべての人が、自由に恐れることなく生きていけるようにすることは、われわれの目的であり義務である。」
「過去何か月、何週間と前例のない連続殺人を目の当たりにした。これは、まだわれわれが、目的に達していないことを意味する。」
ラマート議長は、最近の反ユダヤ主義に関する研究発表を引用して、こう語った。
「20%の国民が反ユダヤ主義という過去の思想の所産をいまだに持っている。これは、ドイツにとって20%多すぎる。」
シュピーゲル誌(Spiegel Online)
http://www.spiegel.de/politik/deutschland/0,1518,811761,00.html