戦略石油備蓄の放出を計画
米国、フランス、英国、多くの先進国でガソリンの値段が高騰している。米大統領選を7か月に控え、米国が先進国諸国に、戦略石油備蓄放出への参加を要請。1バレル100ドル以上の原油価格に直面して、米政府はフランスと英国それに日本と協議をする予定。ファイナンシャル・タイムズ・ドイツ語版が28日付で報じた。
業界筋によると、上記4か国は、すでに水面下で放出に向けた非常事態の計画を進めているらしい。この介入は今後3か月以内に行われる見込みである。
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sludgegulper米大統領選への影響
ガソリン価格の高騰は、オバマ米大統領とサルコジ仏大統領にとって、非常に危険な問題である。アメリカでは、先月、原油価格が1ガロン3.90ドルまで上昇した。1ガロンは3.785リットルである。
アメリカには原油価格が4ドル以上になると、大統領再選のチャンスが低くなるという不文律がある。最新のIpsos研究所の世論調査によると、アメリカ人の3分の2がオバマ大統領は、「高騰するガソリン価格に対し、何の対策も講じていない」と回答。
グラフ:Internationalen Energieagentur(IEA)より
仏大統領選における燃料価格の役割
仏大統領選においても石油は重要な役割を果たしている。大統領選の本命である社会党のオランド氏は、選挙キャンペーンで燃料価格を3か月凍結することを約束し、サルコジ氏を守勢に追い込んでいる。
原油価格がこのまま上昇するならば、オランド氏は、柔軟に燃料税を下げるつもりである。パリのいくつかのガソリン価格は1リットルあたり2ユーロをこえている。
ベッソン仏産業エネルギー担当相は、28日、
「米国の計画に対し、フランス政府は前向きに歓迎している。」
と、述べた。ペクレス予算・公共収支・国家改革相も合意するものの、
「国際エネルギー機関(IEA)の合意が計画の前提条件である。」
と、指摘する。インサイダーによると、国際エネルギー機関(IEA)は、直接、進行中の協議には関与していないらしい。
ドイツ政府の立場
ドイツ政府は、米国の計画に反対の立場をとっている。レスラー独経済相は、
「石油備蓄は価格を安定させるための道具ではない。国の石油備蓄は、実際に物理的不足時にのみ放出するべきだ。」
と、語った。
ドイツは約2500万トンの原油と石油製品を所有し、これは、世界で3番目の備蓄量である。
フィナンシャル・タイムズ・ドイツ語版( FTD)
http://www.ftd.de/politik/international/:streit-um-oelreserven-wahlkampf-erreicht-tankstellen/70015639.html国際エネルギー機関(IEA)のホームページ
http://www.iea.org/