遺伝子タイプの違いで発症リスクが高くなることが判明
血管細胞で血圧の調節にかかわっているたんぱく質を作る遺伝子タイプのわずかな違いで、高血圧の発症率が上がることもわかった。2日には米医学誌「
セル・メタボリズム電子版」に発表された。
この発見は、京都大薬学研究科の竹島教授らの研究グループがマウスを使った実験で突き止められたものである。
たんぱく質「TRIC-A」の働きが高血圧症のカギ
研究グループは、血管内の細胞で情報伝達役を務めるたんぱく質群に着目した。これらのたんぱく質のうち、
「TRIC-A」というたんぱく質を作れない状態にしたマウスは血管収縮の調節がうまくいかず、高血圧状態になった。
このことを踏まえて、「TRIC-A」の遺伝子について、30~59歳の高血圧患者と45歳以上の健康な人をそれぞれ約1,100人ずつ調査。すると高血圧患者約7%と健常者約4%に、遺伝子の特定部位にわずかなだが変異がみられたという。
今回の研究結果により、
血管内の細胞で情報伝達役を務めるたんぱく質「TRIC-A」に異変があると、血管収縮の調節が上手くいかず高血圧状態になる事を発見したのである。この遺伝子変異がある人は、変異のない人と比べると、高血圧の発症率がおよそ18%も高かったことが分かった。
今後の治療に大きく期待される
高血圧症の原因は塩分の摂り過ぎや血管の老化、ストレス、過労、運動不足、肥満などが挙げられているが、もしかすると
遺伝的な要素が大半を占めているのかもしれない。
この先、遺伝子レベルでの治療が行われるようになれば、多くの高血圧症患者が不安から解放されるかもしれない。今後の研究結果を期待したいところである。
京都大学大学院薬学研究科・京都大学薬学部Cell Metabolism - TRIC-A Channels in Vascular Smooth Muscle Contribute to Blood Pressure Maintenance (セル・メタボリズム電子版)
高血圧の基礎知識~高血圧症と診断されたら -高血圧Web-