難航する政府の調査
カリフォルニアでは、企業が法を破っていようといなかろうと、ひとまず地方政府からガイドとなる手紙が送付されました。一方、オレゴン州では、多数のインターンシップが悪用されている事実が明るみに出たようです。
「実際に無給のインターンが、常勤の社員に取って代わって仕事をしていたり、指導に当たる監視者がいないために訓練にもなっていなかったりする例が見られました。」
と、話すのはボブ・エスタブロック氏。オレゴン州の労働局の広報です。
この労働局では、最近無給インターンシップにかかわる問題の解決に当たったところでした。苦情を申し立てた2人の無給インターンシップは、ソーラー・パネルを扱う企業に不当な労働を強いられたとして、後に3,350ドル(日本円でおよそ31万円)の賠償金を受け取っています。
中身のないインターンシップ
ほとんどの学生が、インターンシップを行ったものの、結局実習とは言えない召し使いのような仕事だったと話します。確かに、インターンシップは技能も特別必要としないものがほとんどです。
しかし、単調な重労働が続く仕事であれば、給与を支払わないだけの違法なインターンシップであると、労働局も話しています。
アイビー・リーグの学生は、雑誌こん包の無給インターンシップを3か月間行いました。その仕事は、1日に20から40の衣服のサンプルをファッションハウスに送る仕事でした。
リトル・エアプレーンという名の、マンハッタンの子供向け映画会社に勤めたニューヨーク大学の女学生は、アニメーションの仕事に就くことを希望していました。しかし、無給インターンシップの間、実際に彼女が勤めたのは施設部。彼女は毎日、新型インフルエンザのまん延を抑えるために、ドアノブをふかなくてはいけませんでした。
トーン・サイン氏は、このリトル・エアプレーンのシニア・プロデューサーです。インターンシップは、通常、教育という観点からも充実すべきで、良い就職先へとつながらなければいけないと、彼は話しています。
今回の労働局の調査でも、将来の仕事を考慮し、一部の無給インターンは、面接中に自分の名前や、雇用主の名前を挙げたがらなかったそうです。
無給インターンシップの弊害
大学は模範的な奨学生や低所得層の学生も受け入れています。たくさんの学生と学校側がそろって、無給インターンシップの増加によって、富裕層やコネに恵まれた学生にばかり利益が行くと抗議しています。
経済的に恵まれていないたくさんの学生が、無給インターンシップを夏に行う余裕がないと話します。また、彼らの多くは、キャリアにつながるインターンシップを得られるコネにも恵まれていません。
ブリタニー・バークスさんは、マサチューセッツ州、アマーストに住む大学4年生です。彼女のインターンシップはケーブル・ニュース・ステーションによるものでした。企業名は彼女の希望により、公表されていません。彼女の両親は、夏に無給で働くことに反対していたようです。
「友達にも私みたいにインターンシップを受けられない子はいた。学費を払わなきゃいけなかったり、家族を支援しなくちゃいけなかったりで、それでも貯金はできないのよ。」
「だから、卒業後、就職では不利になるの。」
もちろん、無給であれ、有給であれ、たくさんのインターンシップは、若い世代の就職を助ける踏み石となります。
「インターンシップは、ホワイトカラーへと通じる門としての役割を担ってきました。」
と、語るのは、ロス・ペーリンさん。スタンフォード大学出身で、インターンシップにかんする著書を執筆している間、彼も無給のインターンでした。
「今の時代、企業はますます新入社員にも、即戦力として専門的な職歴を求めるようになっている。多くの学生は、その職歴を得る手段が無給インターンだと考えているようだ。」
The Unpaid Intern, Legal or Not
http://www.nytimes.com/2010/04/03/business/03intern.html?pagewanted=2&sq=unpaid%20intern&st=Search&scp=1