非営利法人エネイブル・アメリカ
非営利法人エネイブル・アメリカが開催する、毎年恒例の障害者雇用フォーラムで、米国労働次官補のキャシー・マルチネスさんが基調講演を行うことがわかった。フォーラムは二月三日にフロリダ州タンパで開催される。
エネイブル・アメリカは、雇用を通して障害者が自立できるよう支援することを目的とした非営利法人。フォーラムには雇用主となる企業、地域社会を拠点とした組織団体、それに実績のある福祉関係企業が集まり、最近問題になっている障害者雇用について専門家が意見を交わす。
生まれつき目が不自由な米国労働次官補
エネイブル・アメリカのスティーブ・レイバー理事は、「マルチネス次官補は障害者の権利問題についての業績が世界でも認められている女性。来月のフォーラムに参加してもらえるのは光栄なことだ」と語っている。
マルチネスさんの次官補という現在の役職は、昨年三月にオバマ大統領より推薦を受けたものだ。2005年にWID(World Institute on Disability:世界障害問題研究所)の理事に就任してからの多彩な分野での功績を認められてのことだった。当時の専門分野は雇用、財形、障害者の自立支援事業、国際開発、および障害者の多様性や性問題に対する取り組みなど多岐にわたる。WIDの技術支援センターで管理職に就き、米国内の障害のあるラテン系米国人への雇用機会を増やしたり、財形プロジェクトに参加して貧困にあえぐ障害者の数を減少に導いたこともあった。
マルチネスさんは目の不自由なラテン系米国人としての経験から、少数派であるラテン系の障害者が取り残されて充分な支援を受けられない現状を憂いている。
エネイブル・アメリカによる活動
エネイブル・アメリカは、障害者の生活を改善するための活動を2002年から行ってきた。雇用による指導教育がその一例である。この活動では障害者や、その仕事の経験者であるがケガなどで雇用されることが極めて困難になった人など、その地域での指導を受けたい人々と地元企業の指導者のマッチングを行う。指導を受けることで人々の雇用への道がより近づく一方で、指導する企業側も意義を感じている。
また同法人は地域社会のつながりを促すフォーラムも開催している。フォーラムでは地元の指導者、立法関係者、雇用主となる企業、およびサービス提供企業が顔を合わせる。これは障害者とその地域社会とをつなぐ大切な架け橋を築くための重要なステップとなっている。
その他の活動例として、傷を負った元軍人が市民としての生活に容易に順応できるよう、同じような経験を持つ人を紹介するなどの活動もある。この活動では2007年の開始以来、米国内で200人以上の元軍人とその家族が支援を受けている。
(編集部 小川優子)
Kathy Martinez Keynote Speaker at Enable America Disability Forum