事業仕分けで廃止判定の事業が継続の方針
超微細な炭素素材「ナノカーボン」の応用研究など、行政刷新会議の事業仕分けで「廃止」と判定された
信大関連の5事業について、政府が来年度以降も継続する方針を決めたことが6日、分かった。研究計画への影響を懸念していた信大関係者らは胸をなで下ろしている。
文部科学省は、既に継続方針を示した「知的クラスター創成事業」に加え、「廃止」判定を受けた他の4事業についても「新規事業は採択しないが、現在支援中の事業については必要な経費を確保して継続する」と説明。ナノカーボンの応用研究を進める「地域卓越研究者戦略的結集プログラム」も継続が決定した。
予算配分は大学運営に大きな影響
ただ、5事業が含まれる「産学官連携等によるイノベーションの加速と地域科学技術の振興」の来年度予算枠は前年度比16.%減の400億4800万円にとどまる。事業ごとの配分額は月内に決まる見込みという。
信大によると、5事業の同大への予算配分額は本年度、計7億3千万円余。廃止は大学運営に大きな影響を与えるとして、大学側は昨年12月、山沢清人学長らが同省や
民主党本部を訪れ、継続を訴えていた。
継続方針に対し、ナノカーボン研究の中心となる信大工学部の遠藤守信教授は「前向きな方向で良かった。事業仕分けにより、社会と研究者の距離が縮まった部分もある。成果を挙げて地域の活力づくりに役立ちたい」、山沢学長は「今まで通り、研究を通じ地域や社会への貢献を進めていきたい」と話している。