安康市強制中絶事件でさらに嫌がらせ
中国、陝西省安康市で今月発生した地方政府による妊娠7か月女性の強制中絶事件は、世界中に衝撃を与えた。同事件の被害者は、地方政府に謝罪と賠償を求めたが、逆に嫌がらせを受け、被害者の夫が失踪する事態となった。
拉致してでも一人っ子政策を堅持
陝西省安康市により拉致され、強制中絶させられたのは、同市に住む馮建梅さん。一人っ子政策を続ける中国では、2人目以降の子どもを出産するためには、罰金にあたる「社会扶養費」4万元を支払う必要がある。
馮さんの家族がこれを支払えないと判断した安康市は、馮さんを拉致し強制中絶させた。事件後、死亡した赤ちゃんとベッドに横たわる馮さんの写真を家族が撮影。ネット上に投稿して中国政府の残虐行為を訴えたことから、事件について世界中が知ることとなった。
「売国奴を痛打せよ! 村から追い出せ」
国内外から非難を浴びた安康市は今月半ばに謝罪声明を発表した。しかしながら、実際に決定を下した関係者への処分や補償交渉が進まないことから、夫である鄧吉元さんが北京の中央政府に足を運ぼうとしたところ、安康市職員がこれを阻止。
怒った鄧さんが、独誌「Stem」の取材を受けると、地方政府の嫌がらせはヒートアップし、自宅前に「売国奴を痛打せよ。村から追い出せ」との横断幕が貼られた。
さらにシュプレヒコールをあげながら行進する男たちの様子を撮影した親族が暴行を受け、最終的には鄧さんが失踪することとなった。
人口抑制策から地方政府のボーナスに
国家や地方政府に従わない人間がどのような目に遭わされるか、中国の実情を象徴する事件といえる。
一人っ子政策については、国外から強い批判を浴びることから、中国国内でも再三見直しの動きはあるが、実現にはいたっていない。
もともと人口抑制のために設けられた政策だが、現在では「罰金」により地方政府や関係機関が非常に大きな恩恵を受けているためである。
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