世界のパワーバランスが変わる
携帯電話などハイテク製品の材料として必要なレアアースの鉱床が日本の排他的経済水域内で発見された。埋蔵量は国内需要の250年分とみられており、ロシアや韓国なども大々的に報じた。
南鳥島周辺に国内需要の200年分以上
レアアースを発見したのは、東京大学加藤泰浩教授(地球資源学)らの研究チーム。小笠原諸島の南鳥島近辺の深さ5,600~5,800mの海底を掘削して調べたところ、南鳥島の南西約310km地点の海底にたまる泥から最高で1,700ppmという高濃度のレアアースを検出した。
同海域は日本の排他的経済水域。レアアースを含んだ泥の鉱床が広がっているものとみられ、埋蔵量は680万トンに上ると推定される。レアアースの国内需要は2010年時点で約2万7,000トンとなっており、発見されたレアアースは250年分以上にあたる。
中国の外交カードをシャットアウト!
レアアースは電子デバイスなどに用いられ、ハイテク製品の製造には欠かせない材料。ハイブリッド車のモーターに利用されるジスプロシウムや液晶ディスプレイに用いられるテルビウムなどがある。
世界中で需要が高いが、産出量は中国が90%以上を占める。このため、中国はレアアースの輸出を恐喝的な外交カードとして利用している。
2010年に尖閣諸島近海で中国漁船が海上保安庁の巡視船に体当たりし、船長が逮捕されたときも、レアアースの輸出を差し止めて船長の釈放を求めた。経済的な損失を避けるため、日本政府はこの理不尽な要求をのまざるを得なかった。
レアアースカードは、外交のあらゆる場面で利用されており、米国、EU、日本はこのほど、WTOに対して、紛争処理小委員会を設置するよう要請した。
中国側は29日、レアアースの輸出規制は資源と環境を保護するため、とする従来の主張をくり返した。
韓国、ロシアのマスコミも報道
同ニュースは、韓国の「中央日報」やロシアの「The Voice of Russia」でも報じられた。中央日報は中国の外交戦略に触れ、「状況を反転させるカードを日本が手にした」とコメント。
The Voice of Russiaもレアアースを握る中国の外交を「恐喝」と断じたうえ、「この状況が改善される可能性がある」とする好意的なコメントを掲載した。
◆The Voice of Russia
http://japanese.ruvr.ru/◆希土類元素、レア・アース wiki
http://ja.wikipedia.org/wiki