大統領選決選投票
エジプトで16日、17日の2日間、大統領選決選投票が行われた。穏健派イスラム原理主義組織ムスリム同胞団傘下の自由公正党のムハンマド・ムルシ党首(60)とムバラク政権末期に首相を務めたアフマド・シャフィク氏(70)の間による決選投票である。
現地メディアによる非公式の情報によると、ムルシ氏が約52%の票を獲得し、わずかの差で勝利したようだ。ムスリム同胞団は18日、開票率97%の段階で、自由公正党のTwitter公式アカウントに、ムルシ氏が
「エジプトで国民に選ばれた初の大統領になった」
というメッセージを流して勝利宣言した。
エジプトの歴史の中で、初めてムスリム同胞団が最高位につくことになる。公式の最終結果は、21日に発表される。ツァイト誌オンライン版が18日、報じた。
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自由公正党/Twitter実権を持たない大統領誕生か
しかし、ムバラク政権崩壊後の暫定統治を担ってきた軍最高評議会(SCAF)は、最終的な開票結果が明らかになる直前になり、新大統領の権限を大幅に削減し、今後も立法権などの実権は軍が握る新たな規則を発表した。
現地のAl-Masry al-Youm紙は、
「軍が軍に権限を委ねる」と見出しをつけ、Al-Shorouk紙は、
「実権を持たない大統領」と書きたてた。
この挑発に対し非公式の勝利者ムルシ氏は、
「報復をするつもりはない。今は、民主的で近代的な法治国家を構築する方が大切だ。」
と静かに説明した。
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oxfamnovib米国が圧力を
一方で、AP通信によると、米国はエジプト軍最高評議会の行動に対し、数10億ドルの援助資金の凍結により圧力をかけ、軍が再び修正憲法令を撤回することを迫った。
ツァイト誌(Zeit online)
http://www.zeit.de/politik/ausland/2012-06/シュピーゲル誌(Spiegel Online)
http://www.spiegel.de/politik/ausland/