「冷酷」か？　高齢者の保険料滞納で年金差し押さえ

75歳以上の高齢者が加入する後期高齢者医療保険において、昨年の保険料滞納者数が約28万5,000人にのぼることが13日の参議院予算委員会で明らかにされた。滞納者のうち差し押さえを受けた人は、2010年にくらべ倍増している。同統計は日本共産党の山下芳生議員からの質問に答える中で、小宮山洋子厚生労働大臣が発表したもの。後期高齢者医療保険の滞納者は全体の約2%にのぼり、約0.3%にあたる3万6,000人が短期の保険証に切り替えられた。

保険料滞納を理由に差し押さえを受けた高齢者は、2010年には829人だったが、2011年には1,792人に急増したことも判明。山下議員は｢75歳以上の高齢者に対して冷酷ではないか｣とただした。国民年金が振り込まれると即、差し押さえられるケースもあるという。

これに対して小宮山厚労相は「支払い能力があるのに支払っていない人にのみ行っている措置」として理解を求めた。

後期高齢者医療保険は75歳以上の高齢者が加入する保険制度である。それ以下の世代が加入する国民健康保険の収納率は、2009年には過去最低の88.01%にまで落ち込んだ。

12%の人が滞納していることになり、単純比較すれば、支払えない人が高齢者の6倍いることになる。国の対策により、2010年には88.60%とやや回復したが、減免措置などを拡充したためで、赤字額は逆に650億円も増加した。

高齢者の滞納や差し押さえは深刻な問題だが、かつてない勢いで進行している現役世代の貧困化に歯止めをかけられない中、行政はより「冷酷」になることを予定している。

厚生労働省でも、2010年度に6万1,000円だった後期高齢者医療保険の保険料が、2025年には10万1,000円にはね上がるものと推計している。



◆厚生労働省　後期高齢者医療制度
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