テプラの歴史
テプラとはラベルライターを代表する商品である。1986年から1988年にかけて、ブラザー工業の社員である結城英治氏と、同社の元社員である酒井隆司氏の2人が中心となってテプラを開発した。テプラの基本発明はブラザー工業が保有している。
しかし、ブラザー工業はテプラの発売を見送り、OEMとしてキングジムにテプラを提供し、キングジムから発売されることになった。ラミネートラベルを使用するシリーズは2000年発売の機種で終了となったが、ノンラミネートラベルを使用するシリーズは現在でも発売されている。
ブラザー工業はテプラを開発した2人に対して、24万円の報酬を支払ったが、2人は妥当な金額の支払いを求めて訴訟をしていた。
テプラの発明対価をめぐる裁判所の判断
2人はブラザー工業に対して4億円の発明対価を求めていた。これに対し、裁判所は次のような判断を行った。
まず1審である東京地方裁判所は、2007年4月に、ブラザー工業が2人に対して約3,700万円を支払いよう命じた。次に2審である知的財産高等裁判所は、2009年6月に、2人に対して約5,600万円を支払うよう命じた。知的財産高等裁判所は、2009年3月末までにブラザー工業は、この発明によって3,000億円以上の売上を上げていたことを認定し、1審判決よりも金額を高く認定した。
そして2011年10月24日に行われた3審である最高裁判所は、2審の知的財産高等裁判所の判決を支持して、ブラザー工業が2人に対して約5,600万円支払う旨の決定を出した。
近年、発明対価をめぐり、発明者が会社を訴えるニュースを見聞きする機会が増えている。そして実際に裁判で会社側に高額な支払いを命じる判決も出ている。こうした事態を受け、発明対価に関する法律のあり方を検討する時期が来ているのかもしれない。
最高裁判所
http://www.courts.go.jp/saikosai/知的財産高等裁判所
http://www.ip.courts.go.jp/ブラザー工業株式会社
http://www.brother.co.jp/aboutbrother/index.htm