上関町町長選の結果
中国電力は山口県上関町で原発建設計画を進めている。そんな上関町で2011年9月25日、任期満了に伴う町長選が行われた。原発推進派の現職町長と、原発反対派の前町議の争いとなった。
この結果、現職の柏原重海氏が1868票獲得し、905票獲得した前町議の山戸貞夫氏を破って3選を果たした。有権者数は3206人で、投票率は87.55%であった。
この選挙は、東日本大震災による福島第一原発事故を受け、これまで原発推進していた町民も、原発反対の声をあげることができなかった町民も、原発について考え、声をあげ、投票という形で自分の意思を表明する機会となった。
選挙の背景
今回の上関町町長選挙は、福島第一原発事故の後、原発を新規に立地することの是非が問われるはじめての首長選挙となった。福島第一原発事故の後は「脱原発」の運動や声が拡大している。上関原発の建設予定地周辺でも「原発建設凍結」や「原発建設中止」を求める意見書が出されていた。そして野田佳彦首相も原発の新規建設は困難という見解を示している。
しかし上関町は今年度、約11億円の原発交付金を受けており、この額は一般会計予算の4分の1を占めている。この原発建設に伴う交付金へ期待が寄せられているほか、原発工事に関わる地元の建設業者などが工事の再開を望む声も上がっており、一概に原発反対というわけにはいかなかった。
現職の柏原氏は、原発建設に代わる財源はないと訴える一方で、仮に原発財源が入らなくなっても、高齢者へのバス代の助成を続けたり、中学生以下の医療費を無料とし続けるなど、原発建設がなくなった後の町の運営についても訴えていた。そして国に対しても原発がなくなった後の支援を求める声をあげていた。
一方、今回の選挙で敗れた山戸氏は、これまで原発に反対していても、その意見を述べることができなかった町民が、堂々と反対という声を上げることができるようになったことについて安心していた。
上関町
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