自然災害が人間の心にダメージを与えるとの研究結果
最近、世界各地で
異常気象を伝えるニュースをよく見かける。日本でも9月に入り、四国・中国地方を縦断した
台風12号。和歌山、奈良などは
1600ミリを超える記録的豪雨に見舞われ、現在もその被害の全貌が見えていない。
この世界的に増加傾向にある
洪水や干ばつ、台風・ハリケーンなどが、人間の精神にも大きなダメージを与えるという研究結果が先月29日、
オーストラリア・シドニー大学の脳・精神研究所から発表された。
人間が
異常気象によって、心理的にどのような影響を及ぼすのかということについては、
これまでほとんど研究されてこなかった。それだけに今後もその動向から目が離せない。
異常気象の後には自殺、ストレス障害、うつが増加
今回の研究ではオーストラリア国内の統計を元に、
異常気象の後には薬物・アルコールへの依存、暴力、家庭崩壊、自殺が多くなり、特に
農村部でその傾向が非常にはっきりとあらわれていると指摘。
この報告書で、オーストラリア国立大学の
トニー・マクマイケル教授は
「死別、うつ、ストレス障害、自殺など、気候変動の影響が地域社会における意欲や精神衛生に及ぼしつつある負担は大きい」
と序文に記している。
子どもはPTSDを引き起こしやすいことも明らかに
また、特に
子どもは災害前に強い不安を感じ、災害後に
PTSDを起こしやすいという。
脳・精神研究所のイアン・ヒッキー所長はその理由について、
「命を脅かされ、家族や地域社会の助けを得られない状況に直面するだけでなく、長期間にわたって脅威と共生しなければならないという現実が影響している」
と説明している。
A Climate of Suffering: The Real Costs of Living with Inaction on Climate Change (研究報告内容)Brain and Mind Research Institute
-シドニー大学 脳・精神研究所-