「福岡高裁の判断は重い」首相決断
菅直人首相は、12月15日に、諫早湾干拓事業の排水門開門を命じる福岡高裁の判決に対し、上告をしない方針を明らかにした。これをうけて、鹿野道彦農水相は16日にも長崎県を訪れ、政府の方針を伝えるとともに、常時開門へ向けた調査が開始されることとなる。
上告断念のついて、菅首相は
1997年のギロチンと言われた工事以来、何度も現地に足を運び私なりに知見を持っていた。工事はすでに終了しているが、開門して海をきれいにしようという福岡高裁の判断は大変重い
と、福岡高裁の判決を尊重する方針を理由として語った。
常時開門の対策費600億円、開門方法が今後の焦点に
野党時代から諫早湾干拓事業に関心を持ち、当時の農水省や関係議員を批判してきた菅首相は、判決が下った7日には「政府として検討したい」と表明していて、「開門方法を検討中」と上告を求めていた農水省を押し切る形での決断となった。
首相の判断に対し、開門調査を求めていた佐賀県は歓迎すると見られるが、営農者への被害を懸念し、開門調査を反対してきた長崎県の態度は硬化すると見られる。
福岡高裁の判決では「5年間の常時開門」を命じており、これまで段階的な開門を検討してきた農水省の対応含め、開門方法が今後の焦点となる。常時開門の場合は、対策費として600億円が必要とされている。
毎日.jp「菅首相:高裁判決に上告せず、諫早湾の排水門開門へ」
http://mainichi.jp/select/today/news/20101215k0000e010023000c.html九州農政局「諫早湾干拓事業の概要」
http://www.maff.go.jp/kyusyu/nn/isahaya/outline/outline.html