電気ヒーターによる電力消費を削減し走行距離を延長
マーレは、電気自動車の冬の走行に備えた、ヒートポンプをベースにしたコンパクトで経済的なシステム「Integrated Thermal System、以下ITS」を開発した。
これは、バッテリーの電力消費を大幅に削減するとともに、コントールがしやすく、将来の自動車構造に容易に適合させることができるものである。
エンジンからの安定した利用可能な排熱がないために、冬期、多くの電気自動車は、車内やトラクションバッテリーを暖めるために電気ヒーターによる直接加熱に頼っている。
低温の時にドライブトレインのバッテリーにかかる余分な負荷により、フル充電された電気自動車の走行距離を、最大で半分まで減少させる可能性がある。また、夏期も、ドライブトレインのバッテリーと車内を冷却するのに必要な追加エネルギーにより、走行距離が短くなる。
マーレは、小型電気自動車での実地試験で、ITSが特に低気時で走行距離の損失を大幅に減らすことを実証した。従来の電気ヒーターを装備した使用された車両は、走行距離が100キロメートルであったが、車両にITSが装備され場合、走行距離は116キロメートルに増加した。
マーレ、アドバンストエンジニアリングサーマルマネジメントのディレクターであるLaurent Art氏は、次のように述べた。
「マーレのITSを使用すると、走行距離を7%から20%改善することができ、その設計のおかげで、特に冬期には、走行距離の損失を大幅に削減することができる。」(プレスリリースより引用)
低コストで環境にやさしい
マーレのITSは、様々な熱部品を統合して、複数のモードで機能する1つのシステムにしている。その構造の中心となるのは、半密閉冷媒回路・チラー、冷却剤冷却式コンデンサー(i-コンデンサー)、熱膨張バルブ、電動コンプレッサーである。
i-コンデンサーとチラーは、従来の冷媒回路におけるコンデンサーと蒸発器と同じ機能を持っている。この場合、空気と熱を交換する代わりに、冷却剤が冷媒と熱を交換し、これにより、高温と低温の冷媒流が発生する。
ITSは、冷却剤としてR1234yfを使用し、また、冷却回路と様々な熱源との間の熱交換のための媒体として従来の車両冷却剤を使用し、車両を涼しくする。
低コストと環境上の利点に加えて、さらにITSは、設計の柔軟性と適応性の利点も提供する。現在、マーレの風流検証施設において、ITSが装備された車両により、コントロールの最適化とその他の目的のための試験が行われている。
また、アメリカのOEMと共同で、さらなる性能とコスト最適化の実施に取り組んでいる。
(画像はプレスリリースより)
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