低温廃熱を利用した「可搬コンパクト型蓄熱システム」
NEDOと4社は、国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)の開発による低温廃熱を利用可能な蓄熱材「ハスクレイ」を改良し、さらに高性能な蓄熱材の量産製造技術を共同で確立し、日野自動車株式会社と同蓄熱材を組み込んだ、「可搬コンパクト型蓄熱システム」を共同開発した、と発表した。
NEDOとは国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構で、4社とは、高砂熱学工業株式会社、石原産業株式会社、大塚セラミックス株式会社、森松工業株式会社のことである。
従来型熱輸送システムに比べ、2倍以上の蓄熱密度を実現
現在、産業分野での大幅な省エネが求められている中、工場などにおいて、高温廃熱は発電・蒸気などへの利用が活発であるが、100度程度の低温廃熱は大部分が廃棄されている。
そこで、4社は、NEDOプロジェクトにおいて、産総研が2008年に開発した80~120度程度の低温廃熱の蓄熱材「ハスクレイ(HAS-Clay)」を改良し、高蓄熱密度化、量産製造技術の開発、蓄熱システムの開発を行った。
蓄熱材の量産製造技術は産総研と、蓄熱システムは日野自動車との共同開発である。
改良型ハスクレイは、蓄熱方式が水吸脱着で、蓄熱密度588kJ/Lの高い蓄熱性能をもち、安価な工業用原料から合成される低コストの高性能無機系吸放湿材である。
開発した可搬コンパクト型蓄熱システムは、従来型の熱輸送システムに対して2倍以上の蓄熱密度(500kJ/L以上)を実現し、コンパクト化により中型トラックでの搬送が可能となった。
新しい熱利用システムとして市場展開
新しい蓄熱システムを用いた実用化検証試験を、3月13日から23日までの予定で、日野自動車の工場間で行う。
今後4社は、検証試験の結果をもとに、蓄放熱性能や経済性評価、省エネルギー効果量等の評価を行い、新たな低温廃熱利用システムとして市場展開を目指すという。
(画像はプレスリリースより)
新エネルギー・産業技術総合開発機構のニュースリリース
http://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100730.html