規制緩和によるライドシェア解禁を受け
東京海上日動火災保険株式会社は、「自家用有償旅客運送事業者向け自動車保険」を新たに開発し、2016年3月7日(月)より販売を開始すると発表した。
「自家用有償旅客運送」とは、バスやタクシーなど有償運送許可を得た事業者ではなく、一般の自家用車を使用し一般のドライバーが有償で旅客の送迎などを行うことだ。
かつてこのように許可を受けずに送迎などを行う場合は、許可を受けた事業主の自動車が緑色のプレートナンバーを使用していることに対し、自家用車の白いプレートナンバーから「白タク」と呼ばれ、違法行為であった。
しかし平成18年に規制緩和が行われ、公共交通機関が確保できない「公共交通空白地」と呼ばれる一部地域で「自家用有償旅客運送」が可能となった。さらに今回、3月2日に開催された国家戦略特別区域諮問会議において、NPO法人や自治体の運営に限ったものの、「自家用有償旅客運送」が全国的に解禁となることが決定した。
訪日外国人旅行者急増によるニーズの高まりにも対応
同社ではこのような状況を踏まえ、今回の新しい自動車保険商品の開発と販売に至ったわけだ。
この商品では、「自家用有償旅客運送」により旅客運送中に事故を起こしたさい、事故を起こした当該運転手の加入している自動車保険では補償が不十分な場合に対応している。そのため、運転手本人だけでなく、「自家用有償旅客運送」を行うNPO法人や自治体といった事業主にとっても、もしものときの安心につながる。
今回の国家戦略特別区域諮問会議において、ライドシェアと呼ばれている「自家用有償旅客運送」がほぼ解禁となったのは、「公共交通空白地」における有用性が認められたことからだけではなく、急増する訪日外国人観光客の交通機関を確保するという意味合いも込められている。
自治体によっては、宿泊施設ではない一般家屋や集合住宅の一室を有償で宿泊に提供する「民泊」も解禁されるなど、訪日外国人旅行者急増の影響は大きい。今後、同社だけでなく他の保険会社においても、同様の自動車保険商品が販売される可能性は高そうだ。
(画像はニュースリリースより)
東京海上日動火災保険株式会社ニュースリリース
http://www.tokiomarine-nichido.co.jp/company/参考資料:石破国家戦略特別区域担当大臣記者会見要旨
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/