スマート治療室運用開始
広島大学が、「スマート治療室」の運用を開始した。この運用のために7月18日には記者説明会と撮影会も開催された。これは世界初の試みで、平成26年から5か年計画で、東京女子医科大学と国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)と共に開発をしてきたものである。
この開発プロジェクトは広島大学・信州大学・東北大学・鳥取大学の5大学と(株)デンソー・ミズホ(株)・(株)日立製作所・東芝メディカルシステムズ(株)・パイオニア(株)・日本光電工業(株)・エア・ウオーター(株)・(株)セントラルユニなど13社が賛同し、東京女子医科大学先端生命医科学研究所の村垣善浩教授を中心に関わっている。
スマート治療室とは
「スマート治療室」は安全性と医療効率の向上をめざすものである。具体的に言うと、IoTを用いて、手術の進行状況や患者の術中データを統合し表示することで、手術の精度と安全性を向上させるシステムなのだ。
今回、広島大学病院内に「スマート治療室」の「基本仕様モデル」が完成し、運用を始めた。また、東京女子医科大学においても「最終目標モデル(プロトタイプ)」が完成した。
多種多様な医療機器が混雑していた状況に対して、「スマート治療室」は、術中MRIを軸に基本的な手術機器、術中画像診断機器、患者生体信号機器などをパッケージ化することで、患部の状況をMRI等で確認しながら手術を進めることが可能になった。これにより、従来よりも手術の安全性と精度が向上すると期待される。
今後は、東京女子医科大学に設置された「最終目標モデル」のコンセプトを目標に、各医療機器の間で時間同期された術中のデータを統合・表示するネットワーク化によって、更なる安全性や精度の向上についての検証を試みるそうだ。
更に、国内初の無線LANによる医療情報の一元管理化も進めており、患者のQOL改善にも貢献できるようになると予想される。
(画像はプレスリリースより)
国立研究開発法人日本医療研究開発機構
http://www.amed.go.jp広島大学病院
http://www.hiroshima-u.ac.jp/hosp/