来年1月共同持株会社を設立し、新たなスタートを切る
7月11日にAOI Pro.とTYOは、経営統合に関する基本合意書を締結したと発表した。
今後の予定として、今年12月28日を以て両社ともに東京証券取引所を上場廃止し、来年1月4日の共同持株会社を設立。設立登記日に新規上場を計画している。同株式移転に係る割当ての内容として、AOI Pro.はプレスリリースにて以下のように発表している。
本件経営統合における株式移転比率は、相手方並びにその子会社及び関連会社に関して実施したデュー・ディリジェンスの結果、今後実施される予定の第三者算定機関による株価算定の結果等を踏まえつつ、両社の市場株価も考慮して誠実に協議の上、統合契約書締結までに決定いたします。(AOI Pro.プレスリリースより)
TVCM制作業界最大手同士の統合の背景は
AOI Pro.は1963年設立。50年以上もの間TVCM制作を行っており、業界最大手の一角を担っている。片やTYOは1982年設立。やはりTVCM業界においては最大手の一角を担っている。
今回の経営統合の背景には、昨今のインターネットを中心に拡大を続ける広告事業の劇的な変化が挙げられている。
特に、デジタルメディア等広告媒体、スマートフォンやタブレット端末といったスマートデバイスの多様化、VRやARといったテクノロジーの進化が広告業界にもたらしている変化の波は大きく、これに加えて2017年度からの数年間で、放送局に対するTVCM素材の提供方法がオンラインでのデータ送稿へと移り変わることによるプリント売上の減少という差し迫った問題があるという。
それらを鑑みて、現在の両社が主力事業として行ってきたTVCM制作の事業領域は、中期的に考えて満足のいく成長を見込めないという判断がなされた。
その一方で、広告関連の市場規模、事業領域には手法や構造の変化を織り込みつつ拡大の余地が考えられ、広告事業を取り巻く環境や両社の将来展望、経営方針、事業戦略を全体的に勘案し、対等の精神を土台とした経営統合を以て新たなグループを作り、業界をリードすることが、両社の中長期的な成長のためには必須であるとの結論が出たとのこと。
両社は、共通の理念と戦略を掲げ、互いにこれまで築き上げたあらゆる経営資源を集め、有効に活用することで「より大きなシェア」「より強い交渉力」「より強靱な資本」を保持することも成長のためには必須と考えている。
経営統合後の道筋
今回の経営統合にあたっては、新たに設立される共同持株会社がグループ企業の統括および企業価値の最大化を目指す。その上で、事業運営上は独自性を保ちつつ、人材交流や情報交換を通じて両社の優れた点を相互に導入、活用していく。
両社がコア事業としているTVCM制作など広告映像制作事業に関しては、両社の営業上の独自性や独立性を尊重および維持し、互いにこれまで築いてきた各のブランドに対して競合関係を持ったまま切磋琢磨することで、全体の売上・利益は極大化できるものと考えているとのこと。
他方で、人材教育や業務効率化施策の一本化、仕入れの共同化、特定部門の相互融通などに関しては推し進め、収益力やコスト競争力を高める意向。
また、新たに行う事業として、AOI Pro.の動画マーケティング事業の進め方として、広告会社との協業によるソリューション提供ビジネスモデルの推進にあたり、広告主と直接取引するための営業体制構築の必要性を想定しているため、既に広告主との直接取引を強化しているTYOとのシナジーの強さをアピールしている。
海外事業については、TYOが進めている広告会社とのM&Aと広告映像制作ビジネスを展開するAOI Pro.では機能の重複がないことから統合効果が速やかに発揮できることを強調している。
なお、今回の経営統合によって新たに設立される共同持株会社について、商号などはまだ定めていないことが分かっている。
将来的な展望について、AdverTimesでは11日付で以下のように報じている。
将来的には、映像を主とする広告関連サービス提供会社として、アジアナンバーワン企業を目指す。(AdverTimesより)
株式会社AOI Pro.
http://www.aoi-pro.com/ir/news/20160711-2株式会社ティー・ワイ・オー
http://group.tyo.jp/files/ir/news/20160711_basic_agreement.pdf