「シースルー発電フィルム」を開発し実用化
三菱化学株式会社は、有機薄膜太陽電池を用いた「シースルー発電フィルム」を開発し実用化に成功。これに伴い今後市場開拓を進めていくことを8月7日発表した。
同社の有機薄膜太陽電池は、NEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が進める助成事業「有機系太陽電池実用化先導技術開発」に選定されて以来、数々の実証実験をおこなってきた。
NEDOの同助成プロジェクトとは、太陽光発電の普及拡大に向けて、安価で軽量、かつ設置場所の制約が少ない有機系太陽電池の技術開発を目的としたもので、実用化が間近な状況の有機系太陽電池を、実際の使用環境下で検証し、実用化に向けた課題をクリアしていく必要性から企業への助成をおこなうもの。
透明で軽量、柔軟性といった特徴で幅広い用途が可能
従来は、市街地に太陽光発電施設を設置しようとした場合、主に屋根や屋上に太陽光パネルを設置して発電することになる。しかし限られたスペースの中での発電は、どうしてもエリア当たりの効率が悪いもの。
そこでより多くの発電を求めるならば、窓や壁面などでも発電ができた方が、エリア当たりの発電効率はより高くなる。
これらを実現するには、今までの無機系太陽電池では透明性や色、それに重量などがネックとなり実現が困難であった。しかし同製品はそれらを克服し、窓や壁面を有効活用できるため、発電量の確保に大きく貢献することができる。
まずは窓への設置に関して、スリーエムジャパン株式会社と提携し、窓ガラスに貼れる「シースルー発電フィルム」を製品化した。透明性と共に薄く軽量で、窓に貼るだけで発電ができるもので、発電に加え遮熱制も兼ね備えているため、省エネとしての効果はより一層高まっている。
こういったスリーエムジャパンとの協力により、窓用フィルム分野での長い実績と多くのノウハウが、製品のさらなる開発及び市場拡大に役立つと期待されている。
同社は今後、エネルギー市場の状況を検討し利用者の要望に応えるべく、太陽電池のエネルギー変換効率や耐久性をより一層高め、シースルー発電フィルムの市場拡大を推進するとした。
(画像はニュースリリースより)
三菱化学株式会社 ニュースリリース
http://www.m-kagaku.co.jp/newsreleases/00274.html三菱化学株式会社
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