証券訴訟に関する調査結果が発表
資産運用会社やカストディアン銀行など各分野の代表者が出席したヨーロッパ・コーポレート・ガバナンス・フォーラムで、証券訴訟に関する驚くべき調査結果が発表された。
証券集団訴訟が世界的に増加
同フォーラムでは、主に欧州における共同訴訟、代表訴訟、集団訴訟の最新状況についての報告が行われ、受託者義務の重要性や不正行為などによる減損が起きる場合でのコーポレート・ガバナンスを見直す必要性が確認された。
その中で、国際的コンサルティング企業であるNERAエコノミックコンサルティングの調査結果 によると、Fキューブ訴訟(米国人以外の株主(foreign investor)が米国外の発行者(foreign issuer)の株式の米国外での取引(foreign transaction)に関する訴訟を米国の裁判所で行うこと)が難しくなったことや米国の上場企業数の減少にもかかわらず、米国の証券集団訴訟件数にはいわゆる「モリソン判決」による影響は見られないことが明らかになった。
つまり、米国でも米国以外でも証券集団訴訟が増加していることを示しているということだ。
そもそも「モリソン判決」とは?
2001年、米国の証券取引所に上場していなかったナショナル・オーストラリア銀行はフロリダ州を本拠とし住宅ローン債権回収事業を営むホームサイド社の資産を減損処理せざるを得なくなったため、同銀行の株価が下落した。減損処理の前に同銀行の株式を購入したオーストラリア人原告が、証券取引所法に基づいて、銀行、企業、そして、両社の役員らを訴えた。
2010年6月24日、米最高裁は「事物管轄はあるとした上で、原告に対する証券取引所法にある域外適用は適用されない」とし、原告の訴えを退けた。この判決により、米国でのFキューブ訴訟が実質的に否定された。
この裁判以降、原告は、集団訴訟、共同訴訟、代表訴訟を推進する法制度が確立されている米国以外の国で証券関連の訴訟を起こすようになった。
今後も増加していく見通し
集団訴訟・税金還付請求サービスを行うゴール・グループの調査によれば、米国では証券集団訴訟がしきりに起きているにも関わらず、多くの株主が証券集団訴訟に参加しなかったために、2000年から2012年までの間だけで180億米ドル(約2兆円)を超える額が請求されないままになっている。
また、米国以外での証券集団訴訟は2020年までに年間83億米ドル(約1兆円)のペースで増加する見通しである。
ゴール・グループのスティーブン・エバーラルドCEOはこれらの調査結果に対し、「法制度が急速に整い、証券集団訴訟の動向に注意を払い、訴訟に参加することへの受託者責任が高まる中、極めて有意義なものとなった」とこれからの証券集団訴訟の素晴らしい進展となったと述べた。
(画像はプレスリリースより)
BusinessWire
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