筑波大グループがスーパーコンピュータによる「トレオニン」生合成の最終過程を解明
筑波大学の庄司光男助教と大阪医科大学の林秀行教授らで構成された研究グループ「筑波大グループ」は、筑波大学計算科学研究センターのスーパーコンピュータ「T2K-Tsukuba」を用いて「トレオニン」生合成の最終過程の謎を解き明かした。
(画像はWikiメディアより引用)
今までの経緯
植物や微生物は「トレオニン」を難解な反応経路で合成し、酵素反応が行われている。この反応では、生成物支援触媒であるリン酸イオンがトレオニン生成反応を飛躍的に増大させている。
これらのことは実験により証明済みだが、詳しい経路は解明されていなかった。
今回の取り組み
今回用いられたスーパーコンピュータによる高精度量子力学計算法では、高並列計算により網羅的に反応中間体と反応経路の探索を実施し、生成物支援触媒の仕組みを解明した。
実験により証明済みの事実を、情報科学を用いて詳細を明らかにしたというわけだ。
なぜ酵素の仕組み解明が必要なのか
酵素は、私達生命体が生き続けるのに必要不可欠な化学反応を支え、情報伝達や反応制御などのシステムを構築する大切な物質だ。
酵素の仕組みを解明することにより、生物学や化学はもちろん、農学や医薬品開発などの幅広い分野での応用が期待されるため、注目度も高く重要視されている。
国際論文誌に掲載
今回の研究成果は、3月13日付で、国際論文誌「Journal of the American Chemical Society」ウエブ版に掲載された。
歴史ある「Journal of the American Chemical Society」が精査し掲載を実施したことからも、今回の研究成果の重要性が伺えるといえるだろう。(松本玲子)

筑波大学
http://www.tsukuba.ac.jp/Journal of the American Chemical Society
http://pubs.acs.org/