大学教授が真面目に発表
神戸大学大学院海事科学研究科の西岡俊久教授(63)の発表した「海洋エネルギー発電機」が話題を呼んでいる。海を巨大ダムに見立て、理論的には原子炉千基分の発電も可能という。
地球の端は滝
同構想について、西岡教授は地球の端が滝になっている「地球平面図」の絵を見て思いついたという。
構想では、まず海水が大型船に取り付けたチューブに入り、発電タービンを回す。その後この海水は、海底に向けて設置された導管の中を流れ落ち、海底に設置した発電タービンを回すというもの。
海底に落下した海水の排水が問題になるが、こちらは発電した電気でモーターを回すそうだ。
発電施設を深度1000mに設置すれば、原子炉1000基分にあたる発電が可能という。
リアルか? 「とんでも」か?
同アイディアについて、ネット上では「永久機関の発明か?」と議論を呼んでいる。
海底面まで「落下」した海水の排水が問題となるが、これを発電分の電力で行うなら、深海の圧力を上回るエネルギーが必要となる。
結局、消費エネルギーの方が多いのでは、というのが、大方の指摘だ。
なぜか無邪気なマスメディア
永久機関は実現しない、というのは物理学の常識だが、なぜか大手マスメディアには、これを無視した報道が時折見られる。
昨年6月には産経新聞がやはり「究極のエコ! 重力と浮力で発電する装置をさいたまの80歳男性が開発」という記事を掲載した。
一目で実現不可能なことがわかる器械だが、産経新聞では「実用化されれば、天候や時間に左右されない“究極の自然エネルギー”として注目を集めそうだ」と報じている。
福島第1原発事故以来、脱原発を模索する動きが活発化している。無邪気を装って「とんでも発電」を紹介するのは、「原発以外は非現実的」という考えを暗に示すブラックな手法であろうか?
◆神戸大学大学院海事科学研究科
http://www.maritime.kobe-u.ac.jp/