家族の合成写真は不気味
親近感を強く感じる家族などと他人の顔を合成した「半分家族」の写真を見ると、多くの人は嫌悪感をおぼえる。こんな研究結果が13日付けの英国王立協会科学誌「Biology Letters」(オンライン版)に掲載された。
赤ちゃんは「半分母親」を嫌う
研究発表を行ったのは、東京大学大学院総合文化研究科の岡ノ谷一夫教授ら。生徒7~12か月の赤ちゃん51人を7~8か月、9~10か月、11~12か月の3グループに分け、それぞれに母親と他人の合成映像を見せた。
映像は母親の顔50%、他の女性の顔50%で作成された「顔」がにっこり微笑むもの。赤ちゃんは通常、母親には親近感を、他人には「目新しさ」を感じることから、どちらの顔も好んで見る。
9~10か月、11~12か月の赤ちゃんでは、合成映像を見せると、注視する時間が母親や他人を見る時間の約半分にとどまり、嫌悪感をおぼえていることがわかったという。
他人同士の合成映像の場合、赤ちゃんは一般的な他人の映像を見るのと同じように注視したため、合成映像を嫌うわけではないことが確認されている。
成人でも同様の嫌悪感
同様の実験を10人の成人で行ったところ、このうち8人が、「半分母親」に対して「気持ち悪さ」を訴えた。
極めて身近な人や自分にとって重要な人の合成画像については、嫌悪感を示すのが一般的な反応といえそうだ。合成映像を見せて、もし嫌悪感を示さなかったとしたら、親近感の有無を疑うことができる。
◆科学技術振興機構
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20120613/