アッセ放射性廃棄物貯蔵所の老朽化と地下水の浸水
ドイツ・ニーダーザクセン州にある老朽化したアッセ放射性廃棄物貯蔵所から核廃棄物を回収すべく、1日から試験的作業が開始された。現段階で回収そのものが可能かどうかは、不明である。フォークス誌オンライン版が1日、報じた。
ドイツ連邦放射線防護庁(BfS)によると、岩塩の採掘坑であったアッセには、地下750mに約46,930㎥の放射性廃棄物が12万5,787本の容器に保管されている。そこに毎日1万2000リットル前後の地下水(塩水)が浸水。技術的に容器の回収が困難になる危険性がでてきた。
そこで、どのような状況か調査するために、第7貯蔵室が掘削されるのである。また、老朽化によりアッセの一部が崩壊の危機にあり、坑道の天井の岩が崩れ落ちる可能性にも脅かされている。
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Stefan Brix/Wikipediaより最悪の場合、回収作業の開始は2036年から
旧岩塩鉱山での作業は原子力法の下、厳しい要件を満たさなければならない。回収が可能でも数十億ユーロのコストが必要になる。さらに、すべての13貯蔵室の掘削、放射性廃棄物の中間貯蔵施設の確保等多くの問題が立ちはだかっている。
これらの理由から、回収作業の開始が24年後の2036年まで引き延ばされるかもしれない。
ドイツ連邦放射線防護庁(BfS)は、回収の他に2つのオプションについても検討した。1つは、同鉱山のより深い地層への処分。2つ目は、特殊なコンクリートによる埋め戻しである。これらの代替方法では、放射性廃棄物は現在の場所に留まることになる。
アッセ放射性廃棄物貯蔵所
アッセⅡ鉱山では1909年から1964年までの間、炭酸カリウムと岩塩が採掘された。1967年から1978年まで低中レベル放射線廃棄物が貯蔵された。もともとはそこに最終処分場が検討されていた。同貯蔵所は、環境省内のドイツ連邦放射線防護庁(BfS)の管轄下にある。
フォークス誌(Focus Online)
http://www.focus.de/wissen/technik/atomkraft/