ネット、政治の動きにテレビ局が反応
お笑いタレント、河本準一母の生活保護費不正受給疑惑を20日、テレビ朝日系列の情報番組「サンデースクランブル」が報じた。ネット上などで報道が過熱する中、テレビ媒体があつかうのは初めてのケース。
テレ朝が突破口に?
お笑いコンビ「次長課長」の河本準一が、年収数千万円といわれる収入がありながら母親に生活保護費を受給させていた疑惑は、先月「女性セブン」が最初に報じた。
以来、ネットニュースなどで多数あつかいわれてきたが、その間、河本本人も所属事務所である吉本興業も、いっさい疑惑を否定することなく、沈黙を守ってきた。
今月半ばから片山さつき議員ら自民党の生活保護問題プロジェクトチームが正式調査に乗り出したことから、吉本興業が「釈明文」を発表した。その内容は生活保護法を故意に曲解し、「不正受給はない」とするもの。
こういった事態の進展を受け、先週にはようやく、各スポーツ紙が「河本事件」についての記事を掲載するようになったが、親会社である4大紙やテレビ各局は依然、無視を続けてきた。
「サンデースクランブル」の報道は雑誌の問題提起→ネットニュースの追求→政治家の参戦→大手マスコミの報道? とつながる流れが最終段階にいたったことを予感させる。
写真は「容疑者」あつかいだが
「サンデースクランブル」では、同ニュースを伝えるにあたって河本準一の静止画を使用。選ばれた写真は一般的に犯罪者をあつかう際と同じく、好感度の低いものとなっていた。
また片山さつき議員を取材し、同議員のもとを訪れた吉本興行側が「理不尽ないいわけに終始した」ことを報じた。
ただ、当然行うべき吉本興行側や河本本人への取材をパスしていることから、やはり大手マスコミが依然として「および腰」である状況がみてとれる。
また20日には、河本準一を同系列の人気番組「シルシルミシルさんデー」に出演させている。テレビ局側は吉本興業の「不正受給はない」とする主張をうのみにしたいようである。
安価で利用できる若手芸人に頼る番組作りが続く中、吉本興業との関係を悪化させたくない、との「営業的判断」が優先されているものと思われる。
原発事故報道では大手スポンサーである東京電力に配慮するあまり、放射性物質の危険性などを過小に伝えてきた「前科」がテレビ各局や4大紙にはある。またしても「営業」を優先するのか、テレビ各局や4大紙の報道は要注目だ。
◆サンデースクランブル
http://www.tv-asahi.co.jp/sundayscramble/