学校給食にあえて汚染ミカン
川崎市の小学校で、食材検査の結果セシウムが検出された缶詰、冷凍ミカンがそのまま給食の食材として使用され、子どもたちが食べることとなった。17日の東京新聞が報じた。
セシウム入り「入学・進級祝い」
川崎市では、小学校の給食で使用する食材について、独自に検査を行い、その結果をHP上に掲載している。
4月6日に行われた検査では、神奈川県産のミカン缶詰からセシウムが3.8ベクレル/kg、冷凍ミカンから9.1ベクレル/kgが検出された。
これらの食材は廃棄されることなく、給食として使用され、缶詰は「入学・進級祝い」用のフルーツポンチに使われた。
情報格差で被害拡大
検査結果は市のHPに掲載されているが、チェックしていなければ、知るすべはない。
セシウムが検出されたことについて、川崎市の市教委は各学校に対し、保護者に説明するよう求めたというが、実際には、保護者はもちろん教師の中にも、セシウムが検出されたことを知らない人が多くみられた。
同ミカンは今後、19日には川崎、中原両区で冷凍が、高津、宮前両区で缶詰が使用される予定。
また今月下旬には、高津、宮前両区で缶詰が使用される。
国の安全基準クリアを盾に
国が定めた基準では、100ベクレル/kgまでは「安全」とされている。昨年までは500ベクレル/kgだったが、内外から批判を浴びて、今年から少し厳しくなった。
ただこの数値はあくまで政治的な妥協の産物であり、健康を保証するものではまったくないことは、多くの専門家が認めている。
ドイツ放射線防護協会が定める基準は大人8ベクレル/kg、子ども4ベクレル/kgとなっている。
セシウム汚染については、できる限り少ないにこしたことはない、というのが常識だ。
その常識に従えば、セシウムが検出された食品をあえて小学生に食べさせるのは、一種の犯罪といえる。
なお阿部孝夫川崎市長はもともと自治省官僚だ。震災がれきの受け入れに積極姿勢を示すなど、国への恭順姿勢が明らかな首長の一人である。
◆学校給食に使用する食材の放射能濃度検査結果
(4月11日更新)
http://www.city.kawasaki.jp/88/88kenko/JHschoolLunch/housyanoukensakekka20120411.pdf