セシウム汚染シイタケの真実
先月21日、愛知県岡崎市の幼稚園で給食に出されたうどんの具として使われたシイタケから、1400ベクレル/kgのセシウムが検出された。幼稚園に対する非難が集中する中、ネット上では詳細な事情が明らかになりつつある。
自主検査でセシウム汚染を発見
セシウム汚染が発見された発端は、園児の保護者が行った提案だった。
キノコ類は心配があるため、民間の検査機関に持ち込みたい、とする保護者に対して、園側は食材を提供。検査を行ったCラボ(市民放射能測定センター)で1280ベクレル/kgの汚染が発見された。
その後、保健所が再度検査した結果、1400ベクレル/kgの数値を記録。この数値が公表された。
食材には気を遣っていた
セシウム検出を受け、同幼稚園の園長は下記のようなコメントを発表した。
放射線内部被曝から、被曝にもっとも弱い子どもたちを守りたいという思いで、給食食材の食品放射能分析を実施しました。
3.14 以来、食材業者と産地特定などの細かいところまで注意してきましたので、結果については大変残念です。
今回の干ししいたけは、一般に市販されているものであり、安全だと信頼して購入したものの一つでした。(報道発表コメントから抜粋)
給食に「国産原木栽培」の干しシイタケ
問題の干しシイタケは、茨城県から出荷され、愛知県豊川市の加工業者が仕入れ業者を通じて購入し、納入したもの。
もともとキノコ類はセシウムを吸収しやすいとされている。天日で干せば、降下物も降りそそぐうえ、商品の特性上、出荷されるまでに洗浄されない。
問題の干しシイタケに産地表示はなく、ただ「国産(原木栽培)」と表示されていた。
ここで気になるのは、幼稚園の給食に国産原木栽培のシイタケが用いられたことだ。
コストが重視されるはずの給食で、一般的には高級品とされる国産原木栽培のシイタケが用いられるケースは少ないだろう。
用いることができたのは、おそらく通常よりかなり安く手に入ったからだ。安く手に入った理由について断定はできないが、「汚染が心配される地域で作られた農作物だから」との疑いは色濃い。
「風評被害」の加害者は?
今回のケースでわかるとおり、食品の汚染は日本中に広まっている。政府は「検査を行っており、安全な食物のみを流通させている」と喧伝しているが、真実からはほど遠い。
こういった現実の中、子どもを守るためには、放射性物質に対する知識と猜疑心を持って食品を選ぶしかない。
北関東や東北の農産物は避ける。産地表示されていないものも避ける。産地表示されているものも、その表示について、基本的には疑念を持って判断する。
こういった姿勢を徹底していれば、岡崎の幼稚園で汚染シイタケが消費される確率は、大きく下がったはずだ。
一部にはこういった対処を「風評被害」とする声が高い。だがこの被害における「加害者」は疑わしい食品を避ける消費者ではない。
産地をひとくくりにして避けざるを得ない状況を作った、政府や東京電力こそ加害者であり、生産者とともに消費者も被害者である。
◆NHK
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120405/k10014248141000.html◆Cーラボ
http://tokainet.wordpress.com/hsc/