2週間で2回目の漏出
福島第1原発で5日、放射性物質を含む汚染水が海に流れ出た。経済産業省では東京電力に対し「厳重注意」の通達を送ったが、同様の事故は3月26 日にも発生しており、真剣に防止するつもりはないようだ。
またしてもホースがはずれた
漏水が発生したのは、淡水化装置から濃縮水貯槽へと汚染水を送る移送管だ。東電では、接続部から耐圧ホースがはずれたため、水が漏れだしたと発表している。
まったく同じ事故が、10日ほど前に発生しており、経済産業省からは再発防止を求める指示が出された。
にもかかわらず、「ホースが外れる」という単純な事故が再発し、さらに漏れた汚染水が水路を伝って海に流れ出す、という状況も再現された
簡単に想定できる事態に対して、いっさい効果的な防止措置がとられていなかったことになる。
海の汚染はあきらめている
海洋汚染について、東電はすでにあきらめているのでは、との見方もある。
原子力発電の専門家である京都大学の小出氏は早くから、2号機などでは溶けた核燃料が格納容器の床を突き破り、地中にまで「メルトアウト」あるいは「メルトスルー」している可能性を指摘している。
先月26日に東京電力が行った内視鏡による観察でも、3mはあるものと想定されていた炉内の水位が、実際には60cmしかなく、「格納容器の底に穴があいている」ことはほぼ確実とみられる。
冷却用に注ぎ込まれている水に溶け込んだ猛毒のプルトニウムなどが地下水脈に届けば、そのまま海に流れ出ることになる。
これを防止するには、地中深くに隔壁を設けねばならないが、東電はこういった対策をとろうとはしていない。
鹿児島の養殖ブリも汚染
海への放射性物質流出が続く中、海洋汚染は静かに進行しつつある。
2月29日に環境保護団体グリーンピースが行った調査では、宮城、千葉、静岡沖でとれたスケソウダラ、カツオ、ブリなどからセシウムが検出された。
さらに驚くべきことには、遠く鹿児島産の養殖ブリから、セシウム7.2ベクレル/kgが検出されている。
メルトアウトした2号機などからの流出が本格化すれば、日本近海でとれる魚介類は、すべて食用に適さないレベルで汚染されることも十分に予測される。
◆経済産業省
https://newssystem.fujisoba.com/set_post.php◆東京電力
http://www.tepco.co.jp/cc/press/2012/1201713_1834.html