野田首相名で要請文
東日本大震災で発生したがれきの処理をめぐる騒動が激化している。野田佳彦首相名で、各自治体に送られた処理協力要請は、国の責任を丸投げするもの、との反発も受けている。
一方、がれき処理について、セメント業界は早くから積極的な協力姿勢を見せている。
国民を二分する丸投げ
政府からの要請を受け、がれきの受け入れを表明する自治体も急増している。東北からはほど遠い沖縄県恩納村議会までが全会一致で受け入れを可決。
運送コストや手間を考えると、まったく現実的ではないと思われるが、「絆」の名のもと、理性的な判断は「冷血」と見なされる風潮が、見事に醸成された結果だ。
協力には需要拡大が不可欠
22日には、セメント協会の徳植桂治会長(太平洋セメント社長)が記者会見で、セメント業界ががれきの処理に積極参加する意志を示した。
がれきに含まれるプラスチックや木などの有機物は、セメントの材料として利用できるという。
受け入れの条件として、セメント工場周辺住民の合意を得ることに加え、セメント需要の拡大が不可欠と生臭みのあるコメントを残している。
がれきの処理について、考え方は人それぞれである。ただ、政府の押しつける広域処理に、非常に多くの疑問点や問題点があることは、あまり報道されていない。
疑問点を率直に問うた徳島県に対して、政府からの回答はあったのか? 要請文を送る前に、まずその点について明らかにすべきだろう。
◆太平洋セメント
http://www.taiheiyo-cement.co.jp/