一審の判断を変更
名古屋高等裁判所は23日、2006年にサイパン島で水死した男性の保険金1億円を両親に支払うよう、保険会社に命じる判決を下した。1審で示された「殺害疑惑」については、判断を示さなかった。
サイパン島水死事件
同事件は2006年、6月に中古車販売店従業員だった被害者が、義兄やその友人らとサイパン旅行中に出かけ、海で溺死したもの。
男性は空港内のカウンターで両親を受取人とする1億円の海外旅行保険に加入していた。
保険を販売している東京海上日動火災保険は、男性の死亡状況に不自然な点が多く、殺害された疑惑が強い、としてこの保険金1億円の支払いを拒否した。
男性が死亡した当時は波も穏やかで、死亡したとされる海も、水深が腰までしかないなど、状況には不自然な点が見られた。
また同行した義兄は過去10年間に交通事故で36回も保険金を請求した経歴を持つ。
刑事事件として捜査中
一審では殺害疑惑ありとされたが、今回の高裁判決では、この点については判断を避けた。
保険金の受取人は溺死した男性の両親であり、義兄らがこの金を受け取れるとは限らないため、免責理由にはあたらない、としている。
生命保険などには、保険金の受取人が被保険者の殺害にかかわった場合には、支払わない旨の免責が設定されている。
刑事事件としては、県警も捜査中だが、今回の判決については、特にコメントすることはないと回答した。
◆岐阜新聞
http://www.gifu-np.co.jp/news/kennai/20120324/201203240956_16588.shtml