古代マヤ文明でも利用されていた
床ずれや糖尿病が悪化すると、身体の各部に大きな壊疽や潰瘍を生じることがある。ひどくなると脚を切断するなどの処置が必要になるが、無菌のウジ虫を利用した治療で、予後を大きく改善できるという。13日の「あなたの健康百科」が伝えた。
傷口に無菌のウジを
治療に利用するのは、無菌状態で育てたヒロズキンバエなどの幼虫。壊疽や潰瘍を発症している部位にこのウジ虫を置いて専用のストッキングなどで固定する。
ウジ虫の体長は2~3ミリ程度。1平方センチメートルあたり5~10匹程度を置き、48時間ごとに交換する。
傷口に置かれたウジ虫は壊死した組織を食べて取り除いてくれる。ウジ虫はさらに傷口を殺菌し、健康な肉芽の成長をうながす効果も持つという。
重度の壊疽などにより、脚を切断するしかない、
と判断された患者でも、ウジ虫を用いる治療で切断をまぬがれたケースもある。
保険適用なしの自由診療
気になるコストだが、ウジ虫は150匹で1万7000円程度とされる。ただ、健康保険が適用されない自由診療なので、医療費は言い値だ。
10平方センチメートルの傷で、3万円から10万円程度と大きな差がある。
ちなみに、使用後のウジは「医療廃棄物」として処分される。
◆日本医科大学付属病院 宮本正章准教授
http://tlo.nms.ac.jp/researcher/1148.html