舞台はクリスマス・イブに華やぐNY
クリスマスシーズンはもちろん、ちょっと日常に疲れたとき、おすすめしたい映画「NOEL」。まさにドラマチック!というような大きな事件はないけれど、それだけに身近に感じられるささやかなクリスマスの奇跡が、観る者の心にあたたかなものを残してくれる、小さな名作だ。この作品が初監督作品で、個性派俳優としても知られるチャズ・パルミンテリが、人のぬくもりと愛を丁寧に紡ぎ、問いかける。
クリスマスのイルミネーションが美しく輝き、クリスマスソングが響き渡る……そんなクリスマス一色となったイヴのニューヨークが舞台。幸せが訪れるはずのこの特別な日に、それぞれまったく異なった事情で、孤独と悩みを抱えるローズ(スーザン・サランドン)、ニーナ(ペネロペ・クルス)、マイク(ポール・ウォーカー)がいた。
孤独を抱えたそれぞれの人生がアンサンブルを奏で始める
キャリアウーマンとして働きながら、離婚して一人で暮らすローズ。彼女は、ローズのことさえ分からなくなった母が入院する病院と行き来するだけの毎日を送っている。そこで出会う謎の見舞客との出会いが、彼女を少しずつ変えていく。
誰もが見惚れるほどの美しさをもつニーナは、結婚式を間近に控え、幸せの絶頂。ところが、婚約者で警官のマイクは、彼女を愛しすぎ、異常なまでの嫉妬心を見せはじめる。ある事件で我慢の限界に達したニーナは飛び出して実家へ。そこで偶然ローズと出会い、運命が交錯し始める。
マイクには、たまたま入ったカフェでアーティという人物に旧知の仲のようにふるまわれる。はじめは人違いとも思うが、なんとなく気にかかって仕方がないマイク。そこにアーティから告げられる衝撃の真実!
心あたたまるクリスマスの魔法をあなたにも
誰が悪いわけでもなく、ちょっとしたボタンのかけ違いで、人生に悩む人々に、クリスマス・イヴの夜、ささやかな奇跡が訪れる。過ちを赦し、やさしさが生んだ小さな幸せが連鎖していくラストには、あなたにもあたたかな気持ちと幸せ、希望がもたらされるはず。
アカデミー賞女優のスーザン・サランドンに、まさに美しすぎるハリウッド女優ペネロペ・クルス、細やかな芝居にも力を発揮することをみせたポール・ウォーカー、謎の見舞客に扮する超有名俳優に、アーティを演じるベテラン俳優のアラン・アーキンと、物語を支えるキャスト陣の演技は秀逸。コアな映画好きも楽しませてくれる良作だ。