原料BPAが甲状腺疾患の原因になる恐れ
10月6日付、米医療系情報サイトMedindiaによると、
プラスチックを製造する際に、原料であるポリ塩化ビニルの可塑剤(かそざい)として添加されている、BPA(ビスフェノールA)が、妊婦や新生児の、甲状腺ホルモンの濃度を低下させることが、専門家らの調査により判明した。
BPA(ビスフェノールA)とは?
BPAは、その壊れにくい性質のため、多くの日用品に広く使用されている。例えば、
缶詰、サングラス、CD、水などの飲料や食品を入れる容器、哺乳瓶、歯の虫歯予防や治療の際に使用されているシーラント剤、お店のレジで使用されているレシート(感熱紙)など数えられないほどだ。
BPA摂取量が高い程、甲状腺機能が低下
米バークレー大学で、子どもの伝染病と保健について研究しているBrenda Eskenazi教授らは、335名の妊婦とその新生児らの、甲状腺ホルモンの血中濃度を調査。結果、
妊婦については、BPAの濃度が2倍の人ほど、血中における甲状腺ホルモンの濃度が、1デシリットルつき0.13マイクログラムも少ないことが判明。また、
新生児に至っては、BPAの濃度が2倍の赤ん坊ほど、甲状腺ホルモンを刺激するホルモンであるTSTが、9.9%も低いことが判明した。
アメリカでは既に使用禁止されているBPA
BPAは、強力な洗剤で洗ったり、高温の液体や、酸性物質と触させた場合に、溶け出すことで知られている。近年、米政府系機関である米国食品医薬品局では、
BPAに対する健康被害の懸念から、哺乳瓶や食器をはじめ、赤ちゃんが使用する商品へのBPAの添加を禁止している。
日本におけるBPAの使用状況
厚生労働省の通達によると、
現行、2.5ppm以下まで許可されている。健康被害への懸念はしているものの、欧米諸国の動向を待つような状況だ。
甲状腺機能は、人が健康な体を保持し、また、人が発育していくには欠かせない機能である。便利さを優先した生活を、今一度、見直してほしい。(渡邉充代)
Medindia
http://www.medindia.net厚生労働省のBPAに関する回答
http://www.mhlw.go.jp/