指紋認証上場企業を買収
米Appleが指紋センサー技術開発で知られる米企業のAuthenTec(オーセンテック)を買収することがわかった。約3億5600万ドルでの買収で合意しているという。オーセンテックが米証券取引委員会(SEC)に書類を提出したことから明らかとなった。
オーセンテック社は、指紋認証技術に特化したメーカーで、パソコンやモバイル機器向けの指紋センサーチップの開発および清掃を行っている。1998年にフロリダで設立され、2007年、NASDAQに上場した企業だ。2010年にはセーフネット社からエンベデッドセキュリティ事業部を買収し、組み込み用のネットワークセキュリティ製品の展開にも力を入れている。
Apple新デバイスに技術導入か
現在、オーセンテックは、韓国サムスン電子や中国レノボ・グループ、富士通などをおもな顧客としてもっているといわれている。
Appleとして、こうした今回のような大型の上場企業買収を行うことはめずらしいため、動向としてなお注目を集めるものとなっているようだ。
Apple広報担当は、今回の買収により同社に組み込まれることとなる、オーセンテックがもつ技術を、今後どのように活用していくかについては、具体的なコメントを避けている。
だが、指紋センサー技術は、モバイル決済システムのための技術として、日本の携帯電話でも利用されている。そのためそうした点からみて、Appleの新デバイスに、こうした指紋センサー技術を活かしたモバイル決済技術などが、新たに搭載されるのではないかという予測も広がっている。こうした予測が現実となった場合、世界の市場に大きな影響を与えるものとなりそうだ。
もちろん、セキュリティ強化にのみ利用するという可能性もある。いずれにせよ、今後のデバイスにどのような影響があらわれてくるか、注目されるところだ。
オーセンテック 提出書類(参考資料)
http://www.sec.gov/Archives/edgar/data/Apple
http://www.apple.com/AuthenTec
http://www.authentec.com/