2兆ドルの計算ミスで
米国債を「AAA」から「AA+」に格下げした米格付け会社、S&P社が実は2兆ドルもの計算ミスをしていたことがこのほど分かった。
専門家の間には、S&P社だけが行った格下げについて、政治的な意図を指摘する声もある。同社は計算ミスを認めながらも、ミスがなくても格下げは行われた、と妥当性を主張した。
格付けを変更する際、S&P社では慣例として事前に発行元に連絡、協議を行っている。米財務当局はこの中でS&P社の計算ミスを指摘。同社もこれを認めたが、格付けを下げる判断を変えなかった。
財政赤字から突然の理由変更
米財務当局者は計算ミスに基づく格下げを「事実を無視した決定」と主張。一方、S&Pのソブリン格付け部門の責任者、ジョン・チェンバーズ氏は、「GDPに対する債務残高は今後10年間増加し続ける」と正当性を主張している。
5日朝にミスを指摘されたS&P社は検討し直すことを約束。米財務当局は格下げが回避されるものと考えていた。
ところが5日夜には格下げを発表。発表では当初の理由となっていた「財政赤字削減合意が不十分なこと」ではなく、今回の政治的な混乱で高齢化に伴う医療費負担などに対処できないのでは、という疑念を中心に据えた。この変更を受け、S&P社ではプレスリリースも書き直した。
◆S&P
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