3年以上におよんだ一審結審~判決結果は「原告勝利」
航空自衛隊浜松基地(静岡県浜松市)の3等空曹(当時29歳)が自殺したのは、基地内での先輩隊員のいじめ(パワハラ)が原因だったとして、遺族が国と先輩隊員を相手取り損害賠償を求めた裁判の判決が11日、静岡地裁浜松支部であった。
全面的に原告側の主張が認められた「いじめ」の実態
遺族側は2008年4月に提訴。両者に対して合計約1億1000万円の損害賠償を求めていた。裁判所側は原告側の主張をほぼ全面的に認め、国に対して総額8015万0454円の賠償を命ずる判決を言い渡した。ただ上司の安全配慮義務違反については、いじめは他者にわからないように行われており、事実を知り得るのは難しかったとして認められなかった。
自殺した3等陸曹は、入隊した1995年以降、陰湿で執拗(しつよう)ないじめ(パワハラ)に遭い、先輩隊員によって「死ね」「五体満足でいられなくしてやる」といった暴言を浴びせられたり,顔や頭を殴られるなどの暴行を日常的に受けてうつ状態となり、2005年11月、浜松市の自宅で首をつって自殺した。
静岡地裁の中野裁判長は「先輩隊員が自殺した3等空曹に対する行為と自殺には因果関係がある」と認定し、国家賠償法に基づいて国に慰謝料を支払うよう命じた。また、精神的苦痛による慰謝料のみならず、自殺に追い込まれたことによって生じる遺失利益の損害についても認めた。
今回の判決結果が与える影響は大きい
浜松基地自衛官人権裁判を支える会では、自衛隊内でのいじめやパワハラ・セクハラなどによる人権侵害裁判には、現在係属中の案件も多くあり、今回の判決結果はこれらの裁判の行方にも大きく影響するとしている。
浜松自衛官人権裁判-裁判支援のブログ-浜松基地 | [JASDF] 航空自衛隊