被災地では新たな問題が・・・
東日本大震災から3か月半。避難生活が長期化するなかで被災者への「心のケア」が重要視されているが、現地では新たに被災者の大量飲酒をめぐる問題が起きている。
岩手県の要請を受け、被災地で支援に当たる独立行政法人国立病院機構「久里浜アルコール症センター」(神奈川県横須賀市)の「こころのケアチーム」が現在までの活動報告をまとめている。
落ち着きを取り戻した頃に突然起こる「PTSD」が大量飲酒の引き金に
チームの報告書によると、被災者の飲酒問題が顕在化したのは5月中旬ごろから。コンビニエンスストアやスーパーなどの商業施設が次第に復旧し、酒類が手に入りやすくなったほか、被災者が抱える不安や孤独感、長期化する避難所生活で募るストレスを発散させたいといったことが背景にある。
震災直後の混乱状態からしばらくして落ち着いた頃に、うつや心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症しやすくなるという。このことが大量飲酒やアルコール依存などに走らせる1つの要因となり、その結果、健康や対人関係を害する危険性が高い。
現在、確実に復興に向けて前に動き出している人と、自力では進むことが難しく焦りを感じる人との格差が広がりつつあり、このことも飲酒に拍車をかけているという。
仮設住宅での孤独死・・・阪神大震災時にも
さらに今後懸念されるのが、仮設住宅での単身被災者の飲酒だ。仮設住宅は避難所のように支援者や周囲の目が行き届かず、飲酒に歯止めをかける存在がない。孤独死といった最悪の結果になることもある。
飲酒による二次犠牲者を出さないために、被災者一人一人にきめ細かなケアを行い、飲酒問題の兆候を早期発見することが重要であるだろう。
なお、同チームは7月初旬まで派遣予定である。
国立病院機構 久里浜アルコール症センター被災地での飲酒・こころのケア(東日本大震災関連)-同センター