事故処理作業初の死者に補償も見舞いもなし
事故を起こした福島第一原発の現場では、現在も多くの作業員が事故処理に当たっている。
そんな作業員に最初の死者が出たのは、5月14日だった。亡くなった大角信勝さん(享年60)の妻は、いまだ補償金も見舞金も受け取っていない、と18日の現代ビジネスが報じた。
使い捨ての末端作業員
原発事故処理作業には、暴力団関係などが集めた作業員が多く入っている。東京電力は3次下請けまで認めていない、というが、実際には5次、6次の下請けが入り込んでいる。
そういった派遣元から送られている作業員は賃金を搾取されているだけでなく、補償もまともに受けられない。
亡くなった大角さんは東芝の4次下請けだったという。5月13日から作業に入ったが、翌14日、作業中に急死した。死因は心筋梗塞(こうそく)と報じられている。
タイ人妻に押しつけられた50万円
死亡後、悲しみに暮れるタイ人妻に派遣元社長は50万円を押しつけ「これで国に帰れ」と告げた。
劣悪な作業環境を思えば、労災が認定されてしかるべきケースだ。妻、カニカさんが労災申請を弁護士に依頼したことを知ると、派遣元社長はそれを「裏切り」と指摘。出しかけた見舞金も引っ込めたという。
当事者である東京電力、同じく東芝も、カニカさんに対して謝罪や補償は一切行っていない。
日本語の読み書きが苦手なカニカさんは、タイへの帰国を考えているが、その前に労災による補償を受け取り、大角さんの葬儀を行いたい、と考えている。
◆現代ビジネス
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/22858◆東京電力
http://www.tepco.co.jp/index-j.html