ちゃんと冷温停止した5号機、6号機は別
メルトダウンを起こした福島第1原発で、比較的被害の小さかった5号機、6号機を再稼働する動きがある、と9月14日発売予定の雑誌「SAPIO」が伝えた。
福島第1原発事故の影響はいまだ拡大しつつある。福島県から疎開する子どもたちは日増しに増加。東日本一帯で、農産物のセシウム汚染や、新たなホットスポットが見つかるなど、被害は膨大な規模となっている。
事故を起こした原発の処理も遅々として進まない。冷温停止に向け、10年以上の歳月を要するとも言われる。
そんな中、東電では爆発事故を起こした1~4号機と定期点検中だったため被害が小さかった5号6号機を分けて考え、再稼働させる計画を秘密裏に進めている。
再稼働に向け津波対策のブロック1万個
先の事故は津波によるもの、とする東電では、津波対策に新たな消波ブロックを積み上げている。
最終的には1万個を積み上げ、マグニチュード8程度の地震に耐えられるようにする予定。9月末までに完了するつもりだという。
「発表はしていませんが、防波堤補修のために、消波ブロックの積み上げ工事を、9月末までをめどに行なっているのは事実です。1万個? いや、約3000個と聞いています。再稼働については、国や地域のご理解をいただきながら進めるもので、今、申し上げる段階ではありません。また、5、6号機も福島第二も大切な経営資源という認識です(東電幹部談話)」
電力に余裕がある中、何のための再稼働?
夏の暑さもピークを過ぎた感がある。東電管内で予想された停電は起こらず、電鉄会社への間引き運転の要請もなかった。
6月には使用率が93.2%を記録したと言うが、洪水で被害を受けた東北電力に融通する余力は残っていた。
そんな中、あえて事故を起こした福島第1原発の再稼働するのは、活用すべき資産という認識しかないからだろう。
事故の被害に苦しむ人たちや、不安におののく全国の人を前に、東電のこういった「認識」を野放しにしてきた政治やマスメディアの責は重い。

◆SAPIO
http://www.zassi.net/mag_index.php?id=55