予算もないし「やりたくない」が本音?
厚生労働省は24日、食品の放射線汚染について、抜き打ち検査に乗り出す方針を発表した。
東北・関東14都県に対しては、政府から食品の放射線検査が求められている。これまで全国で約1万4200品目が検査されたが、東北・関東の14都県では、約100市町村を産地とする農産物で、7月末までに全く検査が行われていないことが判明。事実上、ほとんどフリーパスで放射線に汚染された食品が出回っていたことになる。
費用や手間がかかる上、放射線汚染が検出されれば、出荷規制の対象になる。各自治体にとって検査にはデメリットしかないため、積極的な検査が期待できないことは、当初から明白だった。
image岩手、山形、宮城、埼玉、東京、神奈川……
厚労省が「検査頻度が少ない」として抜き打ち検査の対象と決めたのは、岩手、山形、宮城、埼玉、東京、神奈川の1都5県。
調査する品目は、牛肉や茶葉など、過去に基準値を超える汚染が見つかったものと、米など摂取量が多いもの。
スーパーなどで購入して、抜き打ち検査を行うというが、予定されているのは1カ月あたり200件程度と非常に少ない。
そもそも
暫定基準値そのものが、諸外国の基準より驚異的に高い。チェルノブイリ原発の影響を受けたドイツでは、食品の汚染を幼児は4ベクレル/kg・成人は8ベクレル/kgとした。
日本の基準は2000ベクレル/kg。子どもで比較すると、
ドイツの500倍という甘さだが、食品のほとんどが検査もされないで流通しているため、この基準値すら事実上無視されているのが現状だ。
東北・関東の農産物を避ける動きが出たとしても、もはや風評被害ではなく潜在的なリスクに対する正当な対処、と見るのが自然だろう。
◆ドイツ放射線防護協会
日本における放射線リスク最小化のための提言http://icbuw-hiroshima.org/wp-content/uploads/2011/04/322838a309529f3382702b3a6c5441a31.pdf◆厚生労働省
食品中の放射性物質の検査についてhttp://www.mhlw.go.jp/shinsai_jouhou/shokuhin.html