たった10%に多額の費用と人力をつぎ込む
福島第一原発事故により汚染された地域では、2年後には自然減衰によって約40%も放射性物質が低減される、というデータがある。
一方、多大な費用をかけて人力による除染を行ったとしても、低減できるのは10%程度だという。にもかかわらず汚染を受けた自治体が「除染」のみを望む背景には複雑な事情があった。
被曝量半減が目標
放射能汚染について、ブログに不定期のレポートを掲載している吉本興業所属のタレント「おしどり」のマコさんは3日、政府・東京電力統合対策室合同本部記者会見でのやりとりを掲載した。
それによると政府では汚染地域の放射線量について、2年間で半減することを目標としており、その内わけが自然減衰40%、人力による除染10%だという。
放置しても40%低減するのに、たった10%のために多大な費用と労力をつぎ込むのか、という現地住民の声は、政府には届いていない、とのこと。
「避難した住民は住民と見なさない」
汚染レベルの高い福島県飯館村などでは、「除染」より「避難」を求める住民も多い。ただ、自治体から国に対して要望されるのは、「除染」のみとなっている。
除染により多額の費用が国から現地におりてくるためだ。さらに住民が避難すると、税収の激減により自治体が立ちゆかなくなる、という危機感も強い。
職員が家族を県外に避難させているにもかかわらず、自治体の長が「避難した住民は住民と見なさない」などと公言するケースもあるという。
政府目標通りの除染が完了しても、汚染レベルは半減するにすぎない。現地の若年層には地域内での子育ては不可能、と感じている人もいる。
また高齢者ではたった10%しか除染されないのであれば、庭木や山の木を切るのはいや、と考える人もいるそうだ。
ボトムアップでもトップダウンでもない中途半端な自治体首長の意見から「除染」のみが選択されていることで、原発による汚染被害はさらに広がっている。
◆おしどり ブログ
http://www.magazine9.jp/oshidori/111201/index3.php