貧困解消・格差是正の手段としての原発
7日、チベット仏教の最高指導者
ダライ・ラマ14世が日本で記者会見、そこで
原子力エネルギーには
反対ではないと語った。THE WALL STREET JOURNAL.日本版などが8日、報じた。
ダライ・ラマ14世は、世界の多くの発展途上国で依然として貧富の差が激しく、数百万人が貧困状態にあることを指摘、
途上国で経済的格差を縮める手段としては
原子力エネルギーが有効であるとの考えを示した。記事によれば、
ダライ・ラマ14世はその理由として、
風力や太陽などの代替エネルギーでは、急速に発展する国々の需要を満たすには現実的にみて不十分
であると語った。
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ダライ・ラマ14世の矛盾した行動とその真意
Newsweek日本版は、
ダライ・ラマ14世の原発容認は、
あくまで「途上国に原発は必要」
という趣旨であるとしている。が同時に、今年4月に
ダライ・ラマ14世が
ノーベル平和賞受賞者9名とともに、世界のリーダーに向け「
No to Nuclear power(原子力にNo)」という書簡を送り、
再生可能エネルギーへの投資を訴えたことを紹介、その書簡と
原発容認発言はやはり矛盾していると指摘している。
さらに、Newsweekの記事は分析を続ける。
ダライ・ラマ14世の
原発容認は、
世界の格差解消という理想主義の衣をまとってはいる
ものの、実はその下には、
チベットの貧困を解消し、国力を高め、
中国と対等に渡り合えるようにしたいという、
チベットの「自主」という現実的な願望が隠れている
のではないかと指摘している。
ダライ・ラマ14世の
原発容認を意外と受け止める人は多いだろう。しかし、国の事情を背負っての発言と考えれば、過度にエキセントリックにとらえ過ぎない方がいいのかも知れない。
ダライ・ラマ14世自身も、
原発廃止か否かは国民が判断することとして、日本の反原発運動を否定してはいない。
THE WALL STREET JOURNAL.日本版
ダライ・ラマ14世、原発が途上国の格差縮小に果たす役割を指摘Newsweek日本版
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