対象は排出量の多い企業
豪州連邦議会上院は8日、炭素税関連法案を可決した。来年7月から炭素税が導入されることになる。
炭素税は温暖化ガス削減対策として、排出ガス量に応じて課税するもの。豪州の法案では、温室効果ガス排出量が多い企業500社が対象となっている。
豪ドル高に悩む企業に大きな負担
2012年に徴収される炭素税の額は1トンあたり23豪ドル(約1,800円)。段階的に引き上げられ、15年7月からは排出権取引制度に移行するという。
円高に苦しむ日本企業と同じく、豪企業も昨今の豪ドル高のため国際競争力にかげりが見られる。
そんな中、新たな負担が生じることには反発も強い。豪企業の中には、「炭素税の価格設定が高すぎる」との声もあった。
日本では先送りになる?
民主党政府は8日、未成立の11年度税制改正法案のうち、自民党の反発が予想されるものについては、今臨時国会での成立を見送る方向で検討に入った。
相続税の増税、給与所得控除の縮小などが対象だが、炭素税の導入も含まれており、同税の施行は先送りになった。
進む中国の炭素税対策
欧州連合(EU)では来年1月1日から、航空炭素税の徴収を始める。EU上空を航行する航空機に対して、炭素税を課するもの。
ボーイング747を使用する北京―ロンドン便の場合、約180万円程度かかるという。
これに対応するため中国政府は今年10月、バイオ燃料での飛行実験を敢行。中国産のナンヨウアブラギリ油を原料とする燃料でB747を飛行させることに成功した。
植物由来の燃料は、植物が生長する際に二酸化炭素を吸収するため、化石燃料由来の航空燃料に比べ60%~75%、二酸化炭素の排出量を削減できるという。
今後さらなる実験が予定されているが、実用化すれば、日中で欧州便のコストに大きな差が生じるかもしれない。
◆NNA.ASIA
http://news.nna.jp/free/news/20111109aud002A.html